2023年11月9日発売の
別冊少年マガジン 12月号に連載されている
アルスラーン戦記 123話の
ネタバレ&感想になります。
第123章 孤独の玉座
内容ネタバレ
ルシタニア軍・聖堂騎士団相手に
無事勝利を収めたアルスラーンは
皆に褒賞を与えていた。
わが軍は掠奪をかたく禁じているから
兵士たちの中には不満を持つ者も
いるかもしれない。
こうやって財貨を分けてやれば
彼らも進んで軍律を守るだろうと。
その褒賞の元になったのは
王都の宝物庫の財貨だった。
この大量の宝物を移動するには
護衛の兵がかなり必要になる。
昨日の戦でルシタニアは
この宝物を守るため二万もの兵をさいて
戦場に投入し損ねたという。
兵力がもったいない。
今は軽量化も兼ねて
宝石や金貨は皆に与えてしまおうと。
将達も多大な褒賞を受ける事になり
ジムサを初め大喜びだったが
ダリューンは心配なことがあった。
元はパルス王宮の宝物庫の者であり
「勝手に恩賞を与えるとは何事だ」と
アルスラーン殿下がアンドラゴラス王に
後で責められるのではないか?と。
しかしナルサスはその心配を
笑って一蹴する。
心配するな。
財宝の半分はルシタニア軍が
持って逃げたのさ。
ここにあるのは幻だ。
気にするなと。
当然ながら戦の趨勢に大きく寄与した
エラムにも褒賞が与えられることになったが
エラムは追加の恩賞を求める。
普段自分の望みを言わないエラムの頼みに
アルスラーンは嬉しそうに先を促すが
エラムの頼みとはアズライールにも
褒美をあげて欲しいというものだった。
私が殿下に合図を送ることができたのは
アズライールに助けられたからであり
彼の者がいなければ私は死んでおり
そうなれば殿下の軍は死地に
追いやられていたのかもしれないと。
話を聞いたアルスラーンや他の者達も
納得するものであり笑みを見せる中
ナルサスは嬉しそうに笑みを浮かべていた。
その事に気づいたダリューンに
嬉しそうじゃないかと言われ
その理由について語る。
エラムは本当にやりたいことがあるだろうに
私の侍童であることにこだわりすぎている。
今 私がエラムの将来を決めれば
それに従ってしまうだろう。
こうして少しずつでも良い。
遠慮せずに望みを・・・
夢を語れるようになってくれれば
私は嬉しい。
エラムのような者が
本当に自由に羽ばたくことが
真の奴隷解放となるのだと。
アズライールの褒美について
それぞれが話し合う中
アルスラーンは話の中で
飼い主であるキシュワードの名を聞き
ダリューンとナルサスを誘い天幕へ。
そして話を持ち掛ける。
王都に行きたいと。
王都に行き父上やヒルメス卿と
話し合ってみたいのだ。
話すというのが大それたことなら
直接様子を見るだけでもよい。
父上のもとにはキシュワードがいる。
迷惑かけて悪いが
彼に取り計らってもらえるだろうと。
話を聞いたダリューンは
彼にも立場があるとして
乗り気でない様子を見せる。
しかしナルサスは何か思うところがあるのか
一瞬考える素振りを見せると
アルスラーンの提案を受け入れ・・・。
アルスラーンは主要な将を集めると
王都への同行者について語る。
同行者として名を呼ばれたのは
以下の人物たち。
ダリューンとナルサスに
ギーヴとファランギース。
ジャスワントにアルフリードに
自ら志願したエラムとアズライール
そしてエステルだった。
そして残って軍を統率してもらう者として
ザラーヴァントとジムサの名をあげる。
二人は軍を率いて南下し
オクサス河上流でグラーゼと合流。
そこで兵を休養させ
近日のうちに王都へと
新発する準備を整える。
グラーゼには事情をしたためた
これをメルレインに託すと。
いきなり名を呼ばれたメルレインは
俺はゾット族であり
独立自尊のゾット族たる者
例え王者といえどものを頼まれて
はいやりますなど・・・。
と戸惑いながらも断ろうとするが
アルスラーンから笑顔で
よろしく頼むと言われそれ以上言葉を返せず
・・・承ったと聞き入れるのだった。
そのころ王都エクバターナにおいては
攻めるアンドラゴラス軍十万と
守るヒルメス軍三万との間に
戦いがくり広げられていた。
ただそれは全面的なものではなく
攻めるアンドラゴラス王としては自分の城であり
なるべく破壊したくないところであった。
地下水道での小競り合いを
くり返してはいたが
いまだ城壁の内外で激しい戦いには
発展していなかった。
守るヒルメス軍の兵士達の中から
懐疑的な声が多くあがっていた。
国王軍はまだ本気だしておらず
このまま籠城を続けていて勝てるのか・・・?
水路はなおっておらず
全城門が閉められ食料も入ってこない。
市民の不満も目に見えてたまってきており
口にこそ出さなかったものの
ルシタニア兵の惨状を知るものは
同じ目にはなりたくないと。
そんな不満の声はヒルメスにも届いており
どいつもこいつもなぜ俺の邪魔ばかりする!と
苛立ちを露わにしていた。
それは魔導士も同様で
アンドラゴラスが迫っているとの報せが
入ったところで姿を消してしまい
パルス王室の秘事についても
何もわからずじまいだった。
結局何も得られるものはなく
一体何を語るつもりだったのか・・・と
考えを巡らせていたところ
小さな物音に気づく。
・・・誰だそこにいるのは。
その声に言葉を返したのは
ここにいるはずのないアンドラゴラスだった。
謁見の間で一人・・・
玉座にしがみつき垂れ流すのは愚痴のみか。
渇望し偏執しようやく手に入れた玉座。
やはりお主の手にあまるものであったなと。
まさかの人物に驚くヒルメスだが
アンドラゴラスはしれっと告げる。
予が地下牢にとらえられている時
おぬしも一人で会いに来たであろうがと。
何用だ・・・と睨みつけるヒルメスに
アンドラゴラスは告げる。
少し挨拶に来ただけだ。
息災かヒルメス 我が弟よと。
貴様などに気易く挨拶される覚えはない!
と激昂するヒルメスだが
アンドラゴラスの言葉の中に
聞き流せない言葉があったことに気づく。
・・・今・・・なんと言った・・・?と
戸惑いながらも聞き返すヒルメスに
アンドラゴラスは再度言葉をかける。
「ヒルメス わが弟よ」と。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
最後の衝撃的な展開で
全部持ってかれた感はありますが
まず宝物庫の財貨について
将兵に褒賞として渡したのは面白いですね。
ああやってしっかり褒美を与えていれば
ちゃんと軍律を守るでしょうし
士気も上がると思います。
それにナルサスが言っていたように
一体どれほど財貨が残っていたのかなんて
逃げたルシタニア軍しか知らないわけで
そちらに全部押し付ければいい訳ですしね。
まあ、アンドラゴラスやヒルメスからしたら
マジふざけんなよ!って感じでしょうけど
証拠がない以上追及しようがないと。
そもそもアンドラゴラスは負けた側であり
ヒルメスは侵略側だった以上
どの口でという感じですし(苦笑)
そして最後の最後で明らかにされた
アンドラゴラスの衝撃的な言葉ですが
あれって本当なんですかね?
最終Pには衝撃の事実とありましたが
もしそれが本当ならば
ヒルメスの正統な王位という言葉自体
覆されるも同然なんですが・・・。
アンドラゴラスがヒルメスを弟と呼んだ以上
兄である彼もまた正統な王であるわけですし。
なんか予想外過ぎる展開に
正直戸惑っているんですが
ここを明らかにしないと
どうしようもない気がします。
アルスラーンがアンドラゴラスの子かどうか
それについても明らかにされるべきもので
いずれ語られることもあるだろうと思ってましたが
ある意味それ以上に衝撃的でした・・・。
ともあれわざわざこのタイミングで
アンドラゴラスが明かした以上
何らかの思惑はあるんだろうなと。
今や敵地でもある王都に単身乗り込み
何の意味も無く挨拶しに来たとは
誰も思わないですしね。
何にしても次回はアンドラゴラスの言葉が
真実なのかどうなのかが語られることになるかと。
ヒルメスにとっては最悪
自らの正統性が根本から崩れる可能性も
十分あり得ますし
物語的にもかなり重要な回になりそうです。