2021年5月8日発売の
別冊少年マガジン 2021年6月号に
連載されている
アルスラーン戦記 94話の
ネタバレ&感想になります。
第94章 王弟殿下の憂鬱
内容ネタバレ
宝剣がなくとも
俺はパルスの正統な王だ。
そう言って去って行く
ヒルメスと入れ替わるように
闇から何人もの魔道士が姿を見せる。
魔道士は嘲笑うかのように
口元に笑みを浮かべながら
彼奴は正義の王子だと語る。
”悪こそが世界の根源”
それがザッハーク様の教えだが
正義とは悪を否定する
存在でしかない。
己れ以外を悪だと否定し
打ち滅ぼすのが”正義”・・・。
”正義”を証明するために
血を流さねば済まされぬ。
ヒルメス王子だけではなく
パルス人とルシタニア人、
パルス人同士、ルシタニア人同士
対立する者の血を多量に
欲することになろう・・・。
地上波いくつもの”正義”に溢れ
愚かしい人間どもはもはや
”正義”の軛から逃れることは出来ぬと。
アンドラゴラスがパルス全軍を
掌握したとの報を聞き
ギスカールは唖然としていた。
アルスラーンも追放され
単騎ペシャワールを出たと。
内部分裂は起きておらず
見事に思惑を外されたギスカールは
おのれアルスラーン!と
怒りのままに叫んでいた。
そしてさらに悪い報せは続き
ボダンが破壊していった
用水路の修復工事が進まず
水が不足してきているとの報告が。
何もかも上手くいかない状況の中
ギスカールはいつになったら
落ち着いて王位簒奪に
取り掛かれるのか・・・と
ため息をついていた。
そうした中、ヒルメスが来城し
会って早々アンドラゴラスに
逃げられたことを指摘されることに。
その言葉に対しギスカールは
不手際は認めたものの
余計な差し出口をはさんで
奴を生かしておくよう
主張した者がいたばかりにと
ヒルメスを睨みつける。
どうやらその主張をしたのは
ヒルメスだったようで
一瞬触発になりかけるも
どの道正しかったのは
ボダンだとして
両者ともに矛を収めていた。
ヒルメスはアルスラーンが
追放されたと聞かされ
どのようにアンドラゴラス軍と
ルシタニア軍を共倒れさせるかと
考えていた。
ギスカールもまた
どのようにアンドラゴラス軍と
ヒルメス軍を共倒れさせるかと
考えていた。
そしてお互いにそんな事を
考えているんだろうなと思いつつも
両者ともに味方がおらぬ今
こやつとの同盟関係を守らねばと
思いを同じくしていた。
引き続きよろしく頼むと
言葉を交わしヒルメスが去った後
ギスカールはヒルメスの元には
人材が足らないことから
すぐに裏切ることは
ないだろうと考えていた。
それはこちらも同じか・・・
それだからこそ俺が権勢を
独占することが出来ているのだと
自嘲するかのようにため息をつき
次の面会希望者との話に。
面会を希望して来たのは
田舎出身の無名の兵士四人だった。
その兵士達はギスカールに
故国に帰りたいと申し出る。
異教徒や異端の者共
百万人以上殺した。
それにこの前も町で
酒代を払えと言ってきた
者達を殺した。
これだけやればもうとっくに
天国へいける資格があると思うと
誇らし気に語っていた。
ギスカールは
何故そのようなことをした!
と怒鳴りつけるも兵士達は
揃って何故怒られているのか
分からず首を傾げる。
どうやら彼らはギスカールが
そういった真似はするなという
布告も文字が読めなかったらしく
嬉しそうに語る。
異教徒は皆殺し。
だからエクバターナにいる
異教徒共は一人残らず
殺すのだと。
ギスカールはこの狂人共め!と
叫び出したい気持ちに
なりながらも思い出す。
こやつらの狂気と盲信を利用して
パルス制服の道を歩ませたのは
俺自身ではないか・・・!!と。
面会を終えたギスカールは
城壁から外へと目を向け思う。
俺とて望郷の念はある。
いずれは帰りたいと思う。
しかしこのざまでは生きて故国には
帰れぬかもしれぬ・・・と。
しかしギスカールは
次の瞬間自身の考えた事に対し
憤っていた。
生きて帰るという考えがすでに
敗北主義というやつではないかと。
そして改めて決意する。
全軍の半ばを失おうとも
俺は王冠を戴いて
ルシタニアに生きて帰るのだと。
一方その頃ギランの町へと向かう
アルスラーンは海を見て
遥か遠くにある国の事を考えていた。
この広大な水の連なりの彼方にも
沢山の国がある。
そこには肌の色も目の色も
様々な違いのある人々が暮らしていて
王がいて・・・王妃がいて・・・。
そう口にするアルスラーンだが
内心ではやはり王座をめぐって
争ったりしているのだろうかと
顔を曇らせていた。
そして思う。
私はこの海風のように
新しい世を作る風に
なれるのだろうか。
パルス王家の血を
ひいていないかも
しれないのに・・・と。
そんなアルスラーンに
ファランギースは告げる。
同時に二つの門をくぐることは
人の業にてはかなわぬこと。
まず王都エクバターナの城門を
おくぐりになることを
お考えくださいましと。
その言葉にアルスラーンは
ハッとした表情を浮かべ
思い至る。
ものごとには順序があり
ルシタニアの手によって
生きながら焼き殺されたパルスの
国民の苦痛に比べれば
私の出生の悩みなど物の数ではない。
王太子としてエクバターナを
侵掠者の手から奪回する!
私が何者であるかなど後で
追放されたとはいえ
私はまあ国法上正式な王太子。
公人として王太子としての義務を
果たさなければならない!
そう決意しファランギースに
ありがとうと伝え
目前に迫ったギランの町へ
向かうのだった。
パルス最大の港町ギラン。
大陸の南側オクサス河の
河口に位置し眼前には
無限の大海が広がる。
都市としての規模は
王都エクバターナに次ぐ。
町の人口は四十万に達し
その内三分の一が異国人で
町の中では六十種の言語が
飛び交っていると言われている。
南方らしく冬にも雪は降らず
霜も降りず夏には
にわか雨が街を濡らし
涼気と生気をもたらす。
亜熱帯の花と樹木が家々を飾り
四季にわたって赤と緑の色彩が
絶えることはない。
ギランの町に足を踏み入れた一行は
その賑やかさに驚いていた。
ナルサスはギランは国王が任命した
総督が統治しているが
基本的には町も港も
大商人たちを中心とした
自治的な会合によって
運営されていると語る。
彼らに解決できない事件などがあると
総督府の出番になると。
その上でギランには旧友がおり
まずその者に会うことを提案する。
私の遠い親戚筋で
王立学校で共に学んだこともあり
奴隷制度をなくすために
将来は協力し合おうと
よく話し合ったものです。
その者の名はシャガード。
きっと殿下のために
尽力してくれることでしょうと。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
前回の続きで王都の地下から
始まりましたが
魔道士って謎が多すぎ。
普通の人間とは違い
魔法?魔道?の力を持っているのは
これまでの流れで分かっていますが
結局何人くらいいるんですかね?
一人でも厄介なのに
とりあえず部屋にいたのは
全部で六人。
これで全員かどうかも
定かじゃありませんし。
ヒルメスと話していたのが
恐らくリーダー格なんでしょうけど
本当に謎が多いなと。
それはそれとして
今回の話のメインとなった
ギスカールですがめっちゃ
苦労しているみたいですね。
正直言ってしまえば
自業自得もいいところなんですが
彼がいないともっと犠牲も
増えるので痛し痒しといったところ。
そして改めて思ったのは
やっぱり狂信者はヤバいなと。
リアル世界でも宗教的なことで
戦争が起きて虐殺とかありましたが
正直恐怖を覚えます・・・。
これも魔道士が言っていた
”正義”の一つなんでしょうけど
愚かと言われても反論できないなと。
王都でそんなことがあるとは
露知らずアルスラーン一行は
ギランに到着しましたが
随分と賑やかな町でしたね。
様々な人種との交易によって
これほど活気に
満ちているんでしょうけど
よくルシタニアに
狙われないものです。
ルシタニアから見れば
多様な人種なんて
目の仇にしそうなものですが
恐らく総督が上手いこと
やっているんだろうなと。
そしてナルサスの旧友らしき
シャガードという男ですが
なんか見るからにチャラいですね。
正直美女を傍らに
ヘラヘラする奴って
信用できないんですが
その辺り気になるところ。
実は・・・みたいな感じで
実際には真面だったら
言うこと無いんですが
そうじゃなかったら
敵になるかも?キャラ的に。
ともあれその辺りは
次回にでも明らかになるでしょうし
アルスラーン一行が
ギランで何をするのか楽しみです。