2023年5月30日発売の
週刊ヤングジャンプ 26号に掲載されている
キングダム 第798話の
ネタバレ&感想になります。
第798話 愛する女
内容ネタバレ
第二次趙北部決戦——。
戦いが終わった平原には
無数の屍が連なっていた。
王翦軍と青歌軍の中央の戦場跡では
青歌兵が息のある仲間の救出と
秦兵のとどめを刺して回っていた。
いわゆる”戦場の後処理”である。
通常 敵の死体はその場にさらし
味方はそこに埋葬するが
青歌兵の死体は青歌の地に埋葬すべく
荷車で運ぼうとしていた。
青歌軍がただちに帰路に発てずにいたのは
そのためであった。
~カン・サロ本陣~
後処理を任されたカン・サロは
配下の者達から報告を受けていた。
遺体を乗せた車は順次
青歌に向けて発っております。
やはり数が足りません。
番吾の荷車は全て使い切り
今 周辺の城からかき集めていると。
それはたくさんの青歌の血が
流れてしまったことを示しており
皆は神妙な表情を浮かべていた。
カン・サロもまた
ここまでひどいものとは思っておらず
特にジ・アガが亡くなったことは
彼にとっても想像していないことだった。
そしてジ・アガの荷の準備が
整ったとの報告を受け
ジ・アガの側近であったジガンらも
共に本陣を後にすべく席を立つ。
しかしそこへ外の兵から
おかしな男を捕らえたとの報告が入る。
本人曰く”秦将”であり
”カン・サロに会いに来た”と。
報告を受けたカン・サロは
面白い 連れて来いと申し付けるが
天幕に入ってきたのは
先の戦で秦将として戦った倉央だった。
手を縛られながらカン・サロの前に
連れて来られた倉央は告げる。
秦六将王翦が側近 将軍倉央だ。
趙青歌軍カン・サロ将軍に話があって
投降してきたと。
皆が何のために来たのだと騒然とする中
ジガンらは男が自分達と相対していた
秦軍の将であることに気づく。
そして兵兵に押さえつけるように指示すると
死んだジ・アガ様と仲間達の報復だとして
斬首の理由としては十分だと
カン・サロに天幕を汚すが許されよと
手にかける事の許可を求める。
カン・サロはその男は俺に話があるそうだとして
殺すのは来た理由を聞いてからだと止めるが
ジガンは聞かずとも分かりますると
こ奴が来た理由は”亡命”だと断言する。
敗れた将校が勝った側に
乗り換える事は稀にある。
だがそんなことはジ・アガ様側近の
このジガンが許さぬと。
しかしそんなジガンの言葉に
倉央は亡命ではないと告げる。
ジガンはでは何だと問い質そうとするが
カン・サロは”仇討ち”かと口を開く。
そいつはジ・アガを討った女戦士糸凌の男だ。
つまり相対した敵軍の将である俺の首を
取りに来たのであろう。
糸凌の仇としてなと。
ジガンはならばやはり斬首で構わぬなと
剣を振りかぶるが倉央は
それも違う!と否定する。
ジガンは手を止めると
報告をしてきた兵に改めて問いかける。
・・・こ奴は忍び込んだのを捕らえたのかと。
しかし兵が言うには
自ら名乗り武器を渡して
投降してきたらしく・・・。
カン・サロはジガンに一旦下がれと申し付け
改めて倉央に問いかける。
命を懸けてまで俺に何を話しに来たと。
押さえつけられていた倉央は
カン・サロの問いに答えることなく
じっと一点を見つめていた。
その態度にジガンが声をあげた瞬間
倉央は口を開く。
カン・サロ お前には愛する女はいるか?と。
その言葉に呆気にとられるジガンらに対しても
倉央は問いかける。
ここにいるお前達にも聞きたい。
青歌に帰ればそれぞれ愛する女が待っているか?と。
我を取り戻したジガンは
何の話だと声を荒げるが
倉央はそれに応えることなく
淡々と語り始める。
俺には糸凌が全てだった。
側近として王翦様を支える事に
命を捧げてきたが
一方で俺の心はずっと糸凌にぞっこんだった。
あいつは本来は俺程度が
付き合えるような女ではない。
最高の女だ。
だから俺は死が二人を分かつ時まで
ずっと一緒だと口説いてものにした。
なのに俺は戦場であいつと別れてしまったと。
カン・サロは戦況的に
致し方なかったと思うがと口にし
倉央もそれを認めた上で言葉を続ける。
たしかに戦場ではあれで正しかった。
だがあいつを愛する男としては
約束を破りそして一人で死なせた。
あげく・・・俺はあいつを
置き去りにして逃げた。
そして今あの糸凌は
この荒野のどこかで一人寂しく
朽ち果てていこうとしている・・・。
そう震え涙を流しながら
倉央はカン・サロに頭を下げる。
頼むカン・サロ。
この戦場跡から糸凌の亡骸を捜し出してくれ。
そして俺に・・・糸凌を最後に
抱き締めさせてくれと。
ジガンはバカかお前は そんなことのために
一人で敵陣に乗り込んできたのかと声をあげるが
倉央は今の俺にとっては殺されるよりも
耐え難いことだと告げる。
八つ裂きにされても構わん。
だがその前に糸凌の亡骸に会わせてくれ。
触れさせてくれ。
どんな姿形でもいい。
甲冑でも剣の欠片でも・・・
髪の毛一本でもいい。
どうかあいつ抱きしめさせてくれ。
頼む・・・あいつは今もきっと
どこかで一人寂しく震えているんだと。
そんな倉央の頼みを聞いた
カン・サロは口を開く。
ジ・アガを討った女も偉大だったが
その伴侶もやはり”漢”かと。
その上で自分の頼みを受け入れてくれるのかと思い
顔を上げた倉央に確認する。
剣の欠片だろうと髪の毛一本だろうと
どんな形でもよいと言ったなと。
納得できず声を上げたジガンが
周りの者達から宥められる中
倉央は構わんと返す。
・・・もし回収しているものがあるなら
それが糸凌のものであるのなら・・・十分だ。
その後は・・・そこのジガンに
首を斬られても構わぬ!と。
その言葉を聞き・・・分かったと
頼みを聞き入れたカン・サロは
田郭ここへと配下の者に指示を出す。
カン・サロがそうと決めた以上
ジガン達はそれ以上何も言わず
ただ事態を見守っていた。
自身の頼みが受け入れられたと判断した
倉央は一人目を瞑り思う。
命を懸けて来た甲斐があった・・・。
糸凌 お前を抱きしめて
すぐに俺もいくぞ・・・と。
カン・サロはそんな倉央を
配下の者に命じて立たせると
手を縛っていた縄を切らせ告げる。
ジ・アガが死んでから
俺はジ・アガならどうするかを考え行動した。
だから礼はジ・アガに言え。
そうカン・サロが口にした瞬間
天幕に入ってきたのは
戦場にて命を落としたと
思われていた糸凌だった。
もう会うことすら叶わぬと
思っていた再会に
二人は驚きのあまり立ち尽くす。
カン・サロは悪いが
ジ・アガに粉砕された左腕は
壊死する故斬り落としたぞと伝えるが
倉央は目に涙を浮かべながら
糸凌の名を口にするのだった。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
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感想
前回の最後で王翦の元を
辞する覚悟を見せた倉央ですが
予想通り糸凌を想ってのことだったみたいですね。
流石に敵として先程まで戦っていた青歌軍に投降し
戦場で別れ、亡くなった糸凌の遺品を
探して欲しいと頼むとは思ってませんでしたが
結果としてまた会えたのは何よりだったと思います。
それだけ倉央にとって糸凌という存在が
大きく全てだったんでしょうけど
まさに”漢”だなと。
とりあえず倉央がもう会えないと思っていた
最愛の女である糸凌に会えたわけですが
気になるのはこれからどうなるのかについて。
普通に考えれば倉央が言ったように
ジガンに首を斬られてもおかしくないかと。
侵略者側であり先程まで戦っていた
秦の将軍なわけですし
ジ・アガが討たれた仇の軍でもあるわけですしね。
ただ結局のところはカン・サロが
どうしたいかで変わってくるのかなと。
あの場に置いて一番立場が上で
しかもジ・アガとは深い仲だったわけですしね。
まあ、でもジ・アガの側近である
ジガンが納得できなければ
無理して自分の意見を押し通そうとは
しないようにも思えるので
ジガン次第でもあるのかも。
倉央としてみれば
糸凌と再会を果たすことが出来たことが
望外の喜びだったわけですし
この場で命を取られても仕方ないと
思っているのは間違いないかと。
元々糸凌の遺品を探した後は
命を取られてもいいと決意した上で
投降したわけですしね。
倉央が趙の兵を虐殺した
桓騎軍の将軍ならば
頼みを聞き入れることなく
斬首されていたでしょうが・・・。
なんにしても出来ることなら
このまま二人を解放して欲しいところですが
そんな上手い話もないと思いますので
何かしら条件が付けられることになるのかも。
趙を相手に戦わないとか
将軍を辞めて軍属を離れるとか?
ともあれ全てはカン・サロと
ジガン達が決めることですので
彼らがどう判断するのかで
二人の今後が決まることになるかと。
気になる続きについてですが
次号は休載で6/13発売の28号に
掲載予定とのことです。