2023年5月23日発売の
週刊ヤングジャンプ 25号に掲載されている
キングダム 第797話の
ネタバレ&感想になります。
第797話 砕け散る
内容ネタバレ
収容所から脱出を試みるも包囲され
無力さに心折れかけた壁の前に姿を見せたのは
壁と戦場を共にしたメラ族のキタリだった。
メラ族の者達が趙兵を蹴散らす様を見て
壁と同じく収容所から脱出しようとした
秦兵達はその安堵からか
自分達は助かるかもしれないと涙を流し・・・。
キタリは壁の痩せ細った身体を見て
悲しみの目を向けつつも
喜ぶのは早い、門が閉められる
急いで脱出するぞと声をかける。
山の民の言葉がわからず
秦兵達は困惑する中
その声に答えたのは壁と同様に
収容所に捕えられていた
山の民のナジャラ族の男だった。
ナジャラ族の男から事情を聞いたキタリは
ここまで来たのは彼らだけと聞き
皆を馬に乗せるように指示する。
やせ細っているから二、三人乗れるはずだと。
その上で壁を自らの馬に乗せようとするも
壁の体は思っていた以上に軽く
どれだけ凄惨な日々を送っていたのかと
眉をひそめながらも全員乗ることが出来たようで
すぐさま脱出すべく門へと向かう。
その途中、壁からかたじけないと
山の民の言葉で声をかけられたことで
キタリは壁が山の民の言葉を
話せるようになっていたことに気づく。
どうやら一年もの虜囚生活の間に
ナジャラから少しだけ教わったようで
それを知ったキタリは
他にやることなかったのかバカと口にしつつも
口元には笑みが浮かんでいた。
壁達を連れて門へと向かったキタリ達だが
敵の抵抗が激しく今にも
門が閉められようとしていた。
それでもギリギリのところで
城から脱出することに成功し
急ぎ城壁から離れるため馬を走らせる。
助けられた秦兵達は番吾城を振り返り
ようやくこれで助かったのだと
山の民に礼を言いつつ涙を流していた。
そんな彼らと共に城を離れ馬を走らせる中
楊端和が送った部隊と合流し
秦軍が負けたことを知らされることに。
そうしている間にも番吾の異変に気付いた
趙兵達が迫ってきており
キタリは楊端和が退がったなら従うしかないと
ここから退却することを決める。
そして後ろに乗る壁に
しっかり捕まっていろと声をかけるが
壁はここに至って自分が女性の腹部に
捕まっていることに気づき顔を赤らめる。
焦りながらも平地の言葉で
私は他の馬に移らなくて大丈夫ですか?と
口にするがそれがキタリに伝わるはずもなく
そんな二人の様子を見ていたナジャラが
キタリに壁の言葉を伝える。
壁将軍は久しぶりにお前に会って嬉しい反面
エロい体にムラムラして恥ずかしいそうだと。
まだ流暢には話せない壁には
ナジャラが何を言ったのかわからなかったが
キタリはそれを聞き顔を真っ赤しに
壁に降りろ!と叫ぶ。
今すぐ降りてお前は走って来い!と。
突然態度が豹変したことで
壁が戸惑う一幕もあったものの
キタリ達は救出した壁と秦兵達を伴い
楊端和達の元へ向かうべく
馬を走らせるのだった。
この番吾の戦いで秦軍が
かろうじて得たものがあるとすれば
それは一年間捕らわれていた
壁以下数十名が帰還出来たことであった。
その他は失うだけであった。
左翼楊端和軍と右翼の飛信隊と
それを援けた玉鳳の軍は必死の敗走戦を展開し
何とか最小限の被害に抑えつつ秦国境に近づいた。
そしてほぼ本陣の兵だけになった王翦は
途中合流した王賁達に守られ
これも何とか国境近くまでたどり着いた。
そうした各所の敗走檄が
断片的に少しずつ伝わり
此度の第二次趙北部攻略戦が
大敗に終わったことを咸陽は知った。
長い時間その場の誰も
言葉を発することが出来なかった。
そして全員の頭の中をある思いがよぎっていた。
長年積み重ねてきた中華統一への道が
今 正に砕け散ったのではないかと・・・。
敗走中の王翦一団は夜を迎え
一時休息をとっていた。
一人寝転がり空を仰ぐ倉央に
声をかけてきたのは王賁だった。
王賁は父が一人天幕で休んでいると聞き
なぜ横にひかえていないのか尋ねる。
しかしその問いに倉央は何も答えず
ご心配なら若君がついていなされと返すが
王賁は俺の心配など父は必要せぬことは
お前も分かっているだろうと。
その上で語る。
李牧を甘く見たと。
父に限って油断したというわけではなかろうが
朱海平原で一度勝利した故
どこか隙が出来ていたのだと。
やはり戦とは難しいものだと語る王賁に
倉央はその事に同意しつつも
敗因は別だろうと語る。
”単純な戦い”に李牧がはめ込んだ。
これに尽きると思われると。
王翦様は戦が複雑になればなる程
強みが増すお方。
朱海平原はその最たるもの。
そうなると李牧はかなわぬと察し
複雑さを作る要因となり得る
飛信隊と玉鳳を封じていきなり勝負に出たと。
私が気づいている以上
ご本人はとっくにいや戦の後半には
気づかれていたでしょう。
・・・故に次は王翦様が勝ちまするという言葉に
王賁はただ一言告げる。
・・・次があればなと。
立て直しが容易でないことは
王賁も理解していた。
いわば王翦軍を作り上げた側近衆
亜光・麻鉱・田里弥はもうおらず
だからこそ倉央に告げる。
今 右腕となり支えられるのはお前だけだと。
その言葉に倉央は一瞬目を閉じると
・・・いや これから王翦様のことは
若が支えられよと否定するかのような言葉を返す。
王賁はどういう意味か問い質すが
倉央は決意と共に告げる。
どうしてもやらねばならぬことが一つ・・・
申し訳ありませぬ。
この倉央ここまでですと。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
第二次趙北部攻略戦の失敗が
咸陽に届きましたが
その落胆ぶりは酷い物でしたね・・・。
それだけ今回の戦いに懸ける意気込みが
違っていたんだとは思いますが
中華統一という大事業に対して
大きな影響を与えるのは間違いないかと。
正直言ってしまえばこの敗北によって
中華統一事態が途絶しても
おかしくない程だと思います。
それだけの衝撃を与えた今回の敗北ですが
得たものは捕まっていた数十人の秦兵と
壁が無事救出されたくらいですので
失ったものはかなり大きいでしょうね。
討たれはしなかったものの
二人目の六将の敗北と
それに伴う兵の損失。
そして何より結果として負けてしまった事で
政の掲げる中華統一というものが
本当に正しいのかについても
揺らいでくる可能性もあるかなと。
それでも政や信は諦めないと思いますが
少なくとも第三次趙北部攻略戦は
かなり先になるのは間違いないでしょうね。
そればかりかこの状況で
李牧が秦によって占領された鄴などの城を
取り返そうと動いてもおかしくないでしょうし
朱海平原の戦い以前の状況まで
戻されてもおかしくないかも。
ともあれ今回敗北したことで
中華統一戦略が大きく変わらざるを得ないのは
まず間違いないと思いますので
次回からはそのあたりの話も
出てくるのではないかと思っています。
それと倉央が王翦の下から離れて
何か動きを見せようとしているみたいですし
王翦軍自体が存亡の危機にあるのは間違いないかと。
気になると言えばそんな倉央が
一体何をしようとしているかについてですが
恐らく糸凌に関わることでしょうね。
あの状況で糸凌が生きているとは思いませんが
それでもその身柄だけでも
なんとか自分の元へと考えても
おかしくないと思いますし。
なんにしてもどこもかしこも
厳しい状況が続きそうではありますが
だからこそこの状況で
秦がどういう動きを見せるのか楽しみです。