2024年9月18日発売の
週刊少年サンデー 43号に掲載されている
界変の魔法使い 第2話の
ネタバレ&感想になります。
其の二 魔力と魔法使い
内容ネタバレ
俗世から離れた
辺境の地に建つ特別な城——莿天城。
悠久の時を生きる神仙である
城の主の魔法使いに拾われ・・・
僕の新しい人生はここから始まる——らしい。
世話をしてくれていた
お付きの魔法使い・櫟江は目覚めた王子に言った。
本日は儀礼の為に特別に
離宮を出る許可が下りましたが
まだ”その時”ではありません・・・。
外へ出ても決して
私の傍を離れてはなりませんよ・・・王子。
戻った記憶は断片的だ。
それでも僕は全てを失ったことを
事実として理解した。
目覚めた王子がまずしたのは
自身の髪を切ることだった。
いつか飛び出すはずだった
あの小さな世界は消えた。
僕の魔法使いはもういない。
ライチと同じくこの城で働く女性・右昏に
バッサリと切ってもらい
さっぱりした王子は世無の元へ。
そして改めて色々迷惑をかけたことを詫び
慣れない事も多いと思いますが
お世話になりますと願い出る。
界変が起きたというあの日・・・
あの時の記憶は衝撃ばかりで
何があったかさっぱり分からないままですが
思い出すのがこわくなりました。
あなたの言う通り僕には時間が
必要なのかもしれませんと。
なので、今はとてもあなたの弟子になるとか
考えられなくて・・・
そう口にした瞬間、世無は
オレは弟子になれなんて一言も・・・と
否定しようと声をあげるが
王子は言葉を続ける。
それでも——助けて頂いた御恩と
ご迷惑をおかけした分を
一刻も早くお返しできるように努力致しますと。
そう真摯に言われた世無は
毒気を抜かれたようにおう。と返し
ライチはそんな世無に尋ねる。
こいつまだ自分の名前
思い出せないらしいんだけど
王族なら調べりゃ分かるんじゃねえの?と。
しかし世無にもわからないようで
それが飛国は極端な秘密主義の国で
あんまり情報がでてこないんだよなーと
困ったように口にすると
王子はそうなんですか!?と驚いていた。
そうなんですかってお前・・・と
目を向けるライチに王子は語る。
僕・・・殆ど、お付きの魔法使いのことしか
思い出せてなくて・・・。
外に出たのも多分あの日がはじめてで・・・
城には他にも人はいたと思うんですけど
印象が薄くて・・・なんでかな。
そう語る王子にこっちに来いと
引き寄せた世無は
王子から薔薇の匂いがすることを確かめると
ある課題を申し付ける。
この莿天城に「足りないもの」を探せ。
よく観察して、自分の頭で考えること。
仕事終わりに答えを聞くぞと。
掃除道具を肩に担ぎ
ライチの後について行きながら
王子は世無の課題について尋ねる。
ライチはこの城に足りないものなんて
弟子に決まっていると言い
王子に改めて説明途中だった
”玉”について説明する。
生まれつきの魔力持ちじゃなきゃ
術を使えなかったのは千年も前の話。
今は”玉”さえあれば
誰でも魔法術に手を出せると。
”玉”はその土地の魔力が
結晶化したものと言われている。
玉から魔力を引き出す魔法式が確立されて後
各地にそれを掘り出す玉鉱が
競うように作られ魔法術も進化した。
特別なものだった魔力は有効な資源として
積極的に活用されはじめ
今や有力な玉鉱を持っているかどうかが
国力を左右する程。
玉を使った製品等も様々に作られ
庶民の生活にまで浸透している。
その”玉”を魔力を源に魔法術を使う者たちが
玉魔法使い——玉使いだな。
能力はまあピンキリだし
いい玉持ってる奴が強かったりもする。
対して魔法界の頂点七魔法使いってのは
管理している土地の魔力を
直で使える存在なんだ。
もちろん玉も使うけど
なんなら自分で玉を生成できるレベル。
七色はもう別格、はるか雲の上の存在
だから弟子になって術を習っておけと。
王子はだったら城の皆で
習ったらいいじゃないですかと返すが
ライチは頭を掻きながら口を開く。
魔法術教えるなら魔力耐性の高い
ヒトの子が一番なんだよ。
しかもお前魔力持ちじゃん最適だよと。
魔力耐性について考えていた
王子だが今日の仕事場へと到着する。
ライチによると今日の仕事は
特別業務らしく
その場所には植物が生い茂っていた。
どうやらここは昨日掃除する予定だったらしく
大立ち回り後の対応で
終わらなくなったとのことだった。
そこには特別業務の主力である
イーヨという同僚がおり
ライチの紹介で挨拶していた頃
世無は影の様なものに声をかけられていた。
世無は昼間に出てくるなと告げるが
影は笑いながら告げる。
さっさと思い出させたほうが
いいんじゃないのかァ?サンザシ。
時間稼ぎなど無駄なことだ。
一度目覚めたら後戻りできん。
封じようなどと思うなよと。
アレはまだ子供だと返した世むは
黙って眠っていろ
外の空気はお前には毒だと告げ
よく分からない空間から外へ出ると
そこには結界のようなものが張られていた。
世無が広がってはいない。
一応抑え込めているが・・・と
確認していたところ
よう”千樹”の!と声をかける者が。
声をかけて来たのは
涅遠【黒】の魔法使い・唯参
世無の知り合いの男だった。
二人は仲がいいのか悪いのか
世無は【黒】の末弟か・・・と
相変わらずのアホだなと
歯に衣着せぬ言葉を返す。
唯参も同様のようで
アホっていうやつがアホなんですぅーと
年上なのに子供の様に受け答えしていた。
世無は付き合い切れんとばかりに
なぜ「飛国」だったか当たりはつくか?と尋ねる。
唯参にもそれはわからないらしく
辺境の魔法立国で何やっててもおかしくない
と思うけどなと返しつつ
”玉”をつかい魔法を発動させる。
結界のすぐ近くに飛ばされた”玉”は
見る見る間に巨大な姿へと変わり
唯参曰く「見張り」つけて来いと
兄に言われたとのことだった。
世無がわざわざ自分の顔にするセンスに
ドン引きする中、唯参は語る。
まあともかく今回の件で・・・
「界変は必ず七色の魔法使いのいる場で起こる」
・・・て前提は崩れたな。
俺らが気ィつけてるだけじゃ
防げないってことだと。
お前の見解はどうだと聞かれた
世無は教えない。と返し
ざっけんな!とキレる唯参をよそに
その場を後にするのだった。
一方その頃、莿天城に
大きな銅鑼の音が鳴り響く。
それは昼食の時間を知らせるものらしく
ライチとイーヨは急いで食堂へと向かう。
ライチに促された王子も
よくわからないままについて行くが
食堂に到着したところで
王子が汚れていることに気づいたライチに
怒られることに。
ライチは無理矢理綺麗にしようとするも
見てられないと狐の獣人らしい右昏に
特別サービスだとして露わにした尻尾で
高速洗濯され食卓へ。
他の奴に取られる前に
食べたいモンは自分で確保しろ
食卓は弱肉強食だとライチに説明されるも
王子はよく分からず戸惑っていた。
そこへ城の料理長なのか
コック帽を被ったガテンに
好物について聞かれるも
記憶のない王子にはわからなかった。
事情を聞いたガテンは難儀だなと
アツアツの料理を王子の前へ。
温かい料理を食べたことのない王子は
驚きながらも促されるままに口にするが
あまりの熱さに吹き出しかけることに。
涙をこらえながらも熱さに耐えきり
ガテンが用意した水を一気飲みし
その美味さにハッと気づく。
そういう・・・ことですか?と。
その反応を見てガテンは大笑いし
騒がしい食卓になる中
王子はふと思う。
記憶が戻ってくると
より強く見えてくる——
ここは、僕のいた世界とはまるで違うと。
仕事を終えた王子は
世無のもとへ向かう。
そして課題について答える。
それなのですが・・・
本当に僕の知らないもの
僕の知っているものとは
違うものばかりなんです。
僕に「この城に足りないもの」
など分からないと思いますと。
世無はそこにいる者には
当たり前になっていて気づけないが
外から来た者には分かる
ということもあると思うが?と問いかける。
その問いに対し王子は
そういうことはあるかもしれませんが
僕のいた場所はたぶん
普通ではなかったと語る。
僕は——王宮とは隔離された
離宮でずっと暮らしていました。
人の出入りはありましたが
そこで暮らす人間は僕と
お付きの櫟江だけで——
離宮には櫟江のかけた結界が
何重にも張り巡らせてありました。
僕一人のためとすれば広すぎる城で
望めば大抵のものは与えられましたが
本当に欲しいものは手に入らなかった・・・
ずっと・・・”特別”だと言われて
育てられてきました。
僕は門外不出の国の宝だと。
存在が知られれば世界中から狙われ
国を滅ぼす火種となりうる
唯一無二の存在だと——
そう言った王子は
世無に問いかける。
魔力というのは
ふつうの者には毒なのですか?
誰もが欲しがる万能の力でもあるが
ある者には強い毒でもある・・・というような。
あなたがつけたこの消えないバラの香りは
薄い膜のようでもある。
僕の見張りの為だけでなく
結界のような作用もあるのでは?
他にも幾つか僕に術をかけてますよね?
前の所でもそういうことはされていました。
その必要があるということでしょう?
櫟江は、強い力は周りに
影響を及ぼすものと言うだけでした。
城の皆さんのこともあります。
僕は、ここにいて大丈夫ですか?と。
じっと王子の話を聞いていた世無は語る。
魔力とは、理を歪める力のこと。
すなわち自然の理の中に
生きる者すべてにとって毒である。
そして魔力の扱いに長けた者
それを魔法使いと呼ぶのだと。
王子は項垂れるように
下を向きながら口を開く。
だから僕を拾ってくれたんですね・・・と。
うすうす・・・そうじゃないかと・・・。
母はボクを生んで死に
乳母も3人死んだと聞いています。
数十人いた側仕えも気づいたら
櫟江一人・・・。
櫟江は国の最高位の魔法使いです。
魔力耐性・・・も強かったはずですが
年々体に爛れが広がっていって——
この人はいずれ僕のために
死ぬのだろうとずっと思っていました。
本当はすぐにでも離宮から飛び出して
外の世界を見たかった・・・。
話に聞いたことや
書物で知ったことは本当なのか
知らない誰かとしゃべったら何て言うのか
世界はどれだけ広いのか——
王族は特別好きなものも
苦手なものも作ってはいけないとか
よくわからないしきたりなんか大嫌いだったし
切れば魔力を落とすと言われた
長い髪だってさっさと切ってしまいたかった。
僕の望むものはすべて外にあると思っていたし
とにかく何かを隠されているのはうんざりだった。
でもそれ以上に
彼女が悲しむのが嫌だったと。
櫟江は僕の世界のすべてでした。
櫟江がいたから耐えられた・・・
今の僕には何もない。
あぶないと思います。
この先・・・どうなるのか自分でもわかりません。
もう誰も傷つけないよう自分でケリをつけるのか
それとも世界を呪って復讐に走るのか——
僕を拾った以上、あなたが
引き受けてくれると考えていいですか?
あなた大魔法使いで不老不死ですもんね?と。
そんな語った王子に対し
世無は・・・厄介な子どもだなと
ため息を吐く。
余計なことを考えずに済むよう
課題を出したというのに。
その上で告げる。
だが少し見くびっていたようだ。
玉だとて無垢なままの原石が一等危ういもの。
その非凡な精神力を利用するとしようと。
怪訝な表情を浮かべる王子に
世無はさらに言葉を続ける。
お前の考えている通り
お前は特別高い魔力を宿して生まれてきた・・・。
だが、真に特別なのは
それに付随した魔力の方だ。
何重もの禁忌を破る愚行——
使えば世界が滅びるかもしれないと言われても・・・
この世の全てを生贄にしてでも
欲しがる者は世界中にいるだろう程に・・・
特別な——
そう言いながら立ち上がった世無は
王子に近づき目を見ながら告げる。
お前の目には死者を蘇らせる力がある。
だが決して・・・それを使ってはいけないよ。と
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
まだ始まったばかりということで
次々に新キャラが登場しましたが
王子の持つ力について
色々と分かってきましたね。
王子がこれまで生きてきた環境が
かなり不自由な物であるのは
ある程度分かっていましたが
「死者を蘇らせる力」があるのならば
それも仕方ない事だったのかも。
死者蘇生と言うのは
どの世界においても禁忌とされるものですし
それだけに扱いが難しい。
気になるのはその王子の持つ
死者蘇生の力がどういった形で
発揮されるのかということ。
亡くなった者を再び現世に
肉体を伴った状態で蘇らせることが
可能なのかどうか。
それとそれほどの力を行使して
他に影響がないのかどうか気になる所。
それと寿命で亡くなった場合
どうなるのかも。
色々な作品で出てくる死者蘇生って
効果も代償も様々ですしね。
ただ正直世無が今の王子に
そんな力があることを教えたのが
良かったのかは難しいところですね。
ただでさえ断片的にしか記憶がない以上
彼にとって全てだったと言ってもいい
櫟江を蘇らせようとするのではないかなと。
これまで思い出された記憶でも
王子にとってなによりも大事だったのは
間違いない訳ですし。
とまあ、色々と分からないところもあるので
それについてはこれから徐々に
明らかになるのを待つしかないのかも。
他にも世無に声をかけてきた
あの影は一体何なのか。
あの結界みたいなものは一体何なのか等々
色々と謎も増えてきていますが
まだ二話目ですので
これからも多くの謎が出てくるんだろうなと。
どちらにしても先程も言ったように
まだまだ始まったばかりの作品ですので
これからどうなるのか楽しみです。