雑誌掲載最新話 界変の魔法使い

界変の魔法使い 最新 第1話 ネタバレ&感想 記憶を無くした少年

2024年9月11日発売の

週刊少年サンデー 42号に掲載されている

界変の魔法使い 第1話

ネタバレ&感想になります。

 

其の一 僕の魔法使い

内容ネタバレ

 

魔法使いは言った。

あなたはこの国の”宝”・・・

世界を狂わせ、世界を滅ぼすほどの——

 

だから誰にも見つからないように

隠しておかなければならないのですよと。

 

”ここは、俗世から離れた”

”辺境の地に建つ、特別な城である”

 

全身に包帯を巻かれた少年は

声にならない声を上げ

入れられていた巨大なフラスコから這い出す。

 

ケホケホと咽る少年に対し

目の前の男はおめでとうと手を叩き告げる。

今日から新しい人生の始まりだと。


誰だ?と少年が考える中

男は口元に不敵な笑みを浮かべながら告げる。

 

強運だな小僧。

生き倒れた所をこのオレに拾われるとはと。

 

少年は目の前にあったものを手に取り

男に問いかける。

この赤いものは・・・なんですか?と。

 

男は薔薇だと答えるが

少年は薔薇というものを知らなかったらしく

なんか花みたいですね・・・と返すと

お前 薔薇を知らんのかと言われてしまうことに。

 

続いて少年は尋ねる。

ここは・・・どこですか?と。

 

城の最下層だと答えた男は

再び何かを尋ねようとする少年に対し

改めて名乗る。

 

オレはこの莿天城しゃくてんじょうの主『世無ゼム』。

魔法使いだと。

 

まほうつかい・・・?と

不思議そうに口にした少年に

世無はお前魔法使いも知らんのかと口にしつつも

過去は問わんとして小僧 名は?と問いかける。

 

その問いに対し少年は

それなのですが・・・と改まって口を開く。

僕は・・・一体誰なのでしょう?と。

 

世無はぼりぼりと頭を掻きつつ

解離性健忘・・・記憶喪失か。

まあ時々あるんだよな・・・と言い

何かを思い出そうとしている少年をよそに

シマオー!出て来いカモン!と声をあげる。

 

するとハイサー!と応えるように現れたのは

まるで作り物のように

舌の先には手がくっついた

巨大な蛇の化け物だった。

 

来たニョ。と姿を見せたシマオに

世無は新入りだ。沐浴場に連れていけと

笑みを浮かべながら告げる。

 

するとシマオは舌の先についた手で

少年の体を持ち上げ

沐浴場へと少年を叩き込む。

 

シマオは汚れをよーく清めてネ!と

言い残し沐浴場を後にするが

残された少年は一体何が起こったのか

わからないままに湯の中にいた。

 

少年はここ何か変だぞ・・・と思いつつ

こういう時は逃げるんだったか・・・と

周囲に目を向けるとそこには巨大な窓と

そこから見える空が広がっていた。

 

少年はずごい大きい窓だなと

嬉しそうに窓の方へと向かうも

手を伸ばした瞬間

頭に「いけません!」という声が。


思わず動きを止めた少年は

あれ・・・?何か今頭の中で・・・

女の人の声が——と

声について考えようとした瞬間

再びシマオが姿を見せる。

 

シマオの舌には無理やり連れて来られたのか

見慣れぬ少女が悲鳴をあげながら捕まっており

少女を解放したシマオは告げる。

 

新入りだニョ!

世無が世話してあげてってサ!と。

 

少女はどいつもこいつも雑なんだよと

舌打ちしつつも少年に声をかける。

 

包帯に巻かれている事もあって

怪我の心配をする少女だが

少年からケガはしてないと聞かされ

ま、いいやとこっち来てみと

少年を湯から上がらせる。

 

はーん男のガキね。

身長は同じくらいか。

じゃあそれで着替えを用意して・・・

 

え、髪長ぇな!

変わった仕上がりだな・・・

てか、どっから来た?と

口にしつつてきぱきと調べる。

 

そして名前は?と聞かれた少年は

僕は何て呼ばれていたのかと

自分の名を思い出そうとした瞬間

「いけません王子!」との声が

脳裏に浮かび上がる。

 

少年は王子と呼ばれていたことを思い出すも

それを知られてはいけないと考えたのか

なんでもありませんと口を噤むが

少女は何かに気づいたようで驚いたように口にする。

 

待て。お前もしかして・・・

”ヒト”か!?と。

 

ヒトだ!ヒトだろ!?と

詰め寄ってくる少女に対し

王子はあなただって人では?と尋ねる。

 

すると少女は自分に親指を向け名乗る。

あたしは亜人「獣人」だよ 名前はライチ!

基人もといひと』はマジで鼻弱いのなーと。

 

ライチと名乗った少女は

戸惑う王子をよそに

ブツブツと呟く。

 

まさかヒト嫌いなあいつが・・・

でも適正でいったらヒトの子・・・

 

くっそ てことはいよいよ——

世無の奴、「弟子」を取る気になったか・・・と。


ライチに用意された服に着替えた王子は

ライチと共に再び世無の前に来ていた。

 

ライチは王子を弟子につもりだろうと

詰め寄ったものの世無は否定する。

 

オレの庭に落ちてたんだ。

捨て置く訳にもいかんだろう。

 

萊魑ライチ、お前に預けたのは

お前の知ってることを

そいつに教えこめってことさ。

 

この城で生きるために

ちゃんと教育してやれと。

 

ライチはこいつ記憶喪失とかいって

全然モノ知らないんだけど!と文句をつけるが

世無は記憶を戻す方法は

ないでもない——と語る。

 

だが小僧、先に言っておく。

オレの魔法は高いぞ。

 

お前一人のために使うこと

この先期待せぬことだ。

 

オレにしかできることの為に

力を使うのが本来のオレの役目——

 

それがたまに気まぐれを起こす。

拾って治してやったのはその程度の話だと。

 

その上でさらに言葉を続ける。

それとな、お前を拾った時

ひどく傷ついていたのは

肉体よりも精神の方だったよ。

 

記憶の欠落は・・・今のお前に

必要なことなのかもしれない。

 

負荷から逃げることも時には必要だ。

お前はまだ回復途中だと思った方がいい。

 

お前の人生だ。

これからどうしたいのかゆっくり考えろ。

働くなら城には置いてやると。

 

王子が分かりましたと返したのを見て

ライチは舌打ちしつつも口を開く。

 

じゃーとりあえず仮弟子ってことにしてさ

城に置くならこいつに名前つけてよと。

 

そんなライチの言葉に世無は

オレは弟子は取らないの。

あとそいつはちゃんとホントの名前あるから。

下がれと嫌そうな表情で告げるのだった。


王子と共に世無の部屋を後にしたライチは

イマイチ納得していない様子を見せつつも

お前を拾った訳は分かったと語る。

 

相当ズタボロだったんだろ。

世無はさ・・・自分勝手だし

すんげえヒネクレ者だけど

目の前で弱ってる奴

ほっとけないんだよな・・・。

 

まあ・・・そういう所でもなきゃ

あいつが”七色ななしきの魔法使い”の一人だとは

信じられないわなと。

 

七色の魔法使い——?

と疑問に思いつつも王子は

ライチに言われるがままに手伝っていた。

 

あたしらの仕事は基本、城の掃除。

まあほぼ雑用だと。

 

手伝いながら王子は

・・・どうしたものかと考えていた。

 

これは結構・・・面倒なことになってるのでは?

僕はどうやら「王子」のようだし

魔法使いの弟子になる訳にも・・・

 

いや、そもそも魔法使いの弟子って

何をするのだろう・・・

 

ゆっくり考えろとは言われたけど——

自分が誰なのか分かんないままというのも・・・

 

確かに、思い出さないほうが

いいような感じはあるんだよな・・・

 

でも同時に・・・

それとは逆の思いもある——

 

なんてことを考えながら

ライチの後を歩いていた王子は

天井に扉があったりと人が潜れないような

小さな扉に気づく。

 

変わった城ですねと口にした王子に

ライチは魔法使いの城に

フツウとかねえぞと返すが

王子は改めてライチに尋ねる。

 

それであの人・・・

世無ってつまり何者なんですかね?

 

だってあれは・・・

ふつうの生きものではありませんよね?と。

 

ライチはこいつそういうのは分かんのかと

思いながら質問に答える。

 

そりゃそうだよ。

あいつは霞界かかいの住人、神仙だからな。

つまり神サマや仙人の類だと。

 

神様!?と驚く王子に対し

そーなの。アレでと返しつつ

さらに言葉を続ける。

 

修行して魔法術極めて

気が付いたらなってたって。

「やりすぎた」みたいなこと言ってたな。

 

まあさすがにそれだけで

七色にまではなれないと思うけど・・・と

前置きした上で魔力について説明する。

 

魔力はさ、特性とか領域によって

七つの色に分けられてんだけど

その七つの魔力のそれぞれの扱う者の

最高位が『七色の魔法使い』。

魔法界のてっぺんだな。

 

世無はその七色の一角を担う

【緑】の魔力の魔法使いだ。

 

七色の中では一番の新参者で

それでも数百年は生きてるって話だと。

 

王子は神仙ってホントにいるんだ・・・と

相槌を打ちながらも

ん?魔法使いってそういうのでしたっけ?と

疑問を覚えていた。

 

僕の知ってるのは——

と思い出したのはある女性の姿で・・・。

 

ライチは王子が何かを思い出したことなど

露知らずさらに言葉を続ける。

 

まー今のは選ばれた

一握りのホンモノ・・・・の話しな。

 

「魔法術を使う者」ってイミの

魔法使いモドキは今やゴマンといるよ。

 

今から千年位前だったかな。

魔力が結晶化した石——””が

あちこちで掘り出されるようになって・・・と

背後を振り返ったライチだが

すでにそこには王子の姿はなく・・・。


ライチの前から逃げた王子は

お戻りください王子!と

ある女性に言われたことを思い出していた。

 

あの人に戻れと強く言われた記憶がある・・・

迷惑かける前にやっぱり逃げよう。

だってここはたぶん僕の城じゃない——。

 

ライチがなんで!?と思いながら

大声でシマオを呼ぶ中

王子は上に続く階段を見つけたものの

上よりは下に行くべきだよな・・・と考えていた。

 

この城も高いところにあるようだから・・・と

思ったその時ピキーンと閃く。

この城も・・・!?

 

しかし思い出せそうで思い出せず

まあ、いいやととりあえず窓を探すべく

至る所にある扉を開けようとするが

そのどれもが施錠され開かなかった。

 

下に行く階段も見つからず

コレが魔法使いの城か・・・!?と

思いながら走りまわっていた王子だが

背後に見つけたニョ。と瞳を輝かせた

シマオが姿を見せる。

 

王子が悲鳴を上げて逃げ出した一方

ライチは世無に王子が逃げたことを報告していた。

 

しかし世無は大人しそうな顔して

あいつ中々やるなと笑っており

ライチにわらいごっちゃねえだろ!

ヒトの子ってあんななの!?と突っ込まれていた。

 

一方王子は追いかけて来るシマオから

懸命に逃げていた。

 

あれ何なんだろう・・・妖魔かな?

でも出てるの妖気じゃないんだよな・・・と

疑問に思いながら逃げていると

正面に窓を発見する。

 

急いで向かう王子だが

その時あの女性の言葉が脳裏に浮かび上がる。

 

窓を開けてはいけませんよ。王子。

悪いものが入って来ますからね。

 

そう言われていたものの

王子は正面の窓を開き

そこから下を覗きこむ。

 

しかし何故か下までは見通せず

植物が城の壁に張り巡らされているのが

分かっただけだった。

 

そうこうするうちにシマオに追いつかれ

慌てて植物を伝い上の階へと向かう。

 

その頃、ライチは世無に訴えかけていた。

一瞬で気配消して・・・

バケツ置く音も聞こえなかったし・・・

前掛けなんか廊下の真ん中に

きちんと畳んであったんだ・・・!

 

あたし聞いたことある!

どっかの国に”シノビ”っていう

暗殺集団が・・・と。

 

世無は作業しながら聞いていたようで

お前の知識は偏ってるよと否定し

やっぱり奴にああいう仕事は

ムリなのかな・・・?と呟く。

 

その声が聞こえたのかライチは

やっぱりって何だよ!?と食ってかかるが

世無は何事も一回ちゃんとやらせてみないと

分かんないからなー。と

他人事のように話していた。

 

ライチはそれで納得するはずもなく

だから逃げたんだって!

貴重な弟子候補が!と話すも

世無は鼻で笑って否定する。

 

ハン、オレの城だぞ。

弟子云々は置いといて

あんな小僧に攻略できる訳がない!と。


どうせあっさり泣きついてくるに

一票・・・と口にした瞬間

上階からシマオの声と共に

大きな破壊音が・・・。

 

流石の世無もオレの城だぞ!と

青筋を立てて部屋を出た一方で

王子は必死にシマオから逃げていた。

 

しかしシマオはどうやって感知しているのか

どこに隠れても追いかけてきており

もしかしてバラのにおいのせいか!?と

思いながらもどうする事も出来ず

足を止めずに逃げ回る。

 

待てエエェエ!と言われても

王子が待つわけもなく

足を止めずに逃げていた所

再び脳裏に失われた記憶が蘇っていた。

 

お待ちください王子!と

叫んだ女性は告げる。

 

その扉より先へ進んではなりません。

あなたに何かあれば私の首が飛びます。

王子は私の首が飛んでもいいのですか?

 

フフ・・・いじわるを言いました。

でも決して私から離れないでくださいね。

 

何度でも言いますが、あなたは

誰にも見つかってはならない・・・・・・・・・・・・・のです。

 

・・・おさびしいでしょうね。

私がずっと・・・あなた様のお側に仕え

お守り致します。

ずっとです。この命が尽きるまで——

 

記憶の断片を思い出した王子は

やっぱり戻らなきゃと決意する。

 

あの人を悲しませたくない・・・

帰ろう。僕の城に・・・!と。

 

そうこうしている間に

王子は庭へと出て来たようで

世無が言っていたことを思い出す。

オレの庭に落ちてたと。

 

この庭のことかな・・・と思いつつ

もしかしたら出口があるのかも・・・!と

走り続ける王子だが

待てい小僧!と世無が姿を見せる。

 

どうやってかはわからないが

世無は何かに乗り空を飛んでいるらしく

その事に触れると魔法使いを

バカにしてるのか!?と言われてしまうことに。

 

そして二人は働くと言ったよな!

言ってません!と言い合いに。

 

どちらも一歩も退かず

永遠に続くかと思いきや

王子は告げる。

 

絶っ対に言ってません!

もう放っておいてください!

僕 帰ります!と。

 

しかし世無はオレが拾ったんだから

お前はオレのものなんだよ!

つべこべ言わず働け!と言い返す。

 

二人の言い合いがどんどん子供染みていく中

王子は膝をつき改めて告げる。

 

この命お助けいただいたこと

ありがたく思います。

 

いくらお礼を申し上げても足りないでしょう・・・

ですが私は絶対にあなたの弟子にはなりません。

 

お気持ちに応えることは不可能ですが!

せめてもの感謝の証に

国に戻り次第それなりの品を用意させます。

 

どうぞお望みの品をお申し付けください!

それで手打ちに致しましょう!?と。

 

世無は弟子にするなんて一言言っていないばかりか

まるで手切れ金を提示するかのような

王子の態度にブチ切れたようで

小僧が!もう勘弁ならん!と

捕らえようと魔法を発動させる。

 

植物の根のように襲い掛かる

世無の魔法を素早い身のこなしで

躱し続ける王子だが

そうあまいわけもなく

気が付くと全方位から根が迫っていた。

 

しかし次の瞬間

王子は結界のようなものを発動させ

その全てを防ぎ・・・!?


それを見て世無が冷静に

何かを見定めようとする中

王子は告げる。

 

本当にすみません・・・

礼を失することは元より承知の上・・・

 

それでも僕は・・・

帰らなきゃいけないんです・・・

あの人の元へ!

 

そう言った瞬間、王子の力が増したのか

空間がきしむような音が鳴り響き

世無は舌打ちしつつ

ある魔法を発動させる。

 

その魔法は王子のうなじに

仕込んでいた魔法を発動させるもののようで

王子はうなじから発動された

捕縛術に為すすべなく捕らわれ

意識を失うと共に結界も解けていた。

 

世無は俺の魔法は高いと言ったろ。

働いて返してもらうと告げ

シマオと共にその様子を見ていた

ライチは大人げ無え・・・と呆れていた。

 

しかし同時にある疑問が生まれる。

今の捕縛術あいつの結界の中から出てた・・・

世無の奴、元からあいつに

刻印しておいたってことか・・・。

 

——でも、首元に直接刻印って

正式な眷属にする時にやる

やつじゃなかったけ・・・?と。

 

その後、王子は城の一室へと連れて行かれ

目を覚ました頃、ライチが

食事をもって部屋を訪れる。

 

しかし逃げ出せなかったためか

王子は別人のように雰囲気を一変させており

ライチはそんなことなど気にすることなく

食事をテーブルへと運ぶ。

 

世無いわく働かない者に食わせる飯はないが

療養中の者は別だとよと。

 

王子はまだ逃げ出すことを諦めていないようで

この部屋全然出られないんですけど・・・と尋ねるが

ライチはお前が暴れるから厳重に

結界張ったんだろと告げる。

 

城あんだけ乞われたら

世無が自分で直すしかないんだぞと。

 

王子は僕が壊したんじゃありませんと

自分がやったわけではないと否定し

あんなの魔法でサッと直せないんですか?と尋ねる。

 

ライチはあいつも立場があるから

相当重要事項でもなきゃ

一度に大量の魔力消費は避けたいみたいと語り

これから地味にコツコツ直してくことに

なるんじゃねぇの?と。

 

窓の外へと目を向けながら

王子はここはあの世か何かなのかと尋ねる。

 

もしかして僕はもう死んでいて

神様怒らせたら・・・

二度と生き返らせてもらえないとか

そういう——と口にするが

ライチはそれを否定する。

 

お前は生きてるしここ・・にも”死”はある。

死んだらそこまでだと。

 

その上で何か思い出した?と聞かれた王子だが

いえ・・・とそれ以上答えることはなかった。


ライチが部屋を去った後

王子はベッドに横になりながら

あの人は誰なんだろう・・・と

記憶の中の女性のことを考える。

 

なんで僕はあの人のことしか

思い出せないのだろう——

そんなことを思っていると

再び記憶の断片が脳裏に浮かび上がり・・・。

 

僕はずっとここにいなきゃいけないの?

王子の問いににあの女性は言った。

 

——そうですね。

ずっとではないかもしれません。

 

王子が私との約束を守れるのなら

ここから出ることは不可能ではありませんよと。

 

守れますか?との問いに

うん・・・!と答えた王子に女性は語り掛ける。

 

——では、私はあなたを鍛え

あなたが成人するまでにこの離宮より外へ

でるための術を構築し

練り上げることとします。

 

完全で完璧な準備が整うまで

このことは誰にも話してはなりません。

王子と私 二人だけの秘密です。

 

あなたは国の宝。

そして厄災の種でもある。

 

どれだけ備えたとてこの先もあなたの為に

多くの者が惑い、命を落とすでしょう。

 

それでも未来とは自らの手で切り拓くもの——

これはあなたの宿命です。

決して逃れられません。

 

この先 一生涯、たゆまぬ努力と

全てを引き受ける御覚悟を・・・!

 

そんな記憶を思い出した王子は

冷や汗を流しながら飛び起きるが

その時、世無が部屋を訪れる。

 

世無は王子の様子を見に来たようで

食事をとっていないことに触れると

部屋の外へと向かう。

 

そしてベッドの上でため息を吐く王子の前に

ある服をもってやって来る。

オレの庭で拾った時にお前が着ていた服だと。

 

随分と手の込んだ豪勢な作りだ。

偽礼服の様だな。

 

背の真ん中に山岳地帯の辺境国

飛国」の国章

龍紋様は権力者の証——

お前は飛国の王族の生き残りだろうと。

 

手に取った服を見ながら

生き残りと口にした王子に

世無は告げる。

 

お前の国は消えた。

”界変”によって跡形もなくと。

 

その言葉を聞き王子は

そうだあの時——と何かを思い出す。

 

世無は王子の様子を見て

新しい食事を用意させるから

暖かいものを腹に入れて

とにかく休めと声をかける。

 

服を手に震える王子を見て

やはりまだ受け入れられないか・・・と

気遣うように視線を下げる世無だが

王子は突然世無の服を引っ張り

ポロポロと涙を零しながら口を開く。

 

僕・・・僕の・・・

僕の魔法使い・・・死んじゃった・・・。

僕・・・のせいで・・・と。

 

その頃ライチは城の皆と共に

お茶を飲みながら王子の事を話していた。

 

あれだけ大騒ぎしたせいか他の皆も

色々気になっているらしく

ライチがあいつ玉なしで術使ってた

魔力持ちだと思うと話すと

皆も弟子にするしかないとの声が。

 

そう決めつけるものでもあるまいと

状況を見定めようとする者もいたが

ライチは口を開く。

 

ま、欲しいよな「弟子」は。

魔法使い殺し”——がいつまた動き出すか

わかったもんじゃないんだからと。

 

当ブログでは簡易的な

あらすじとしてありますので

より詳しく知りたい方は

本誌かコミックスでどうぞ!


感想

 

ついに田辺イエロウ先生の漫画が

新連載されるという事で

当然このブログでも取り上げたいと思います。

 

「終末のラフター」は面白かっただけに

すぐ終わってしまったのが正直残念でしたが

このブログでも「BIRDMAN」を取り上げてましたし

その前の「結界師」も好きな作品だっただけに

めっちゃ期待している作品になります。

 

それに今回は一話目ということで

67Pという大ボリュームでしたし

サンデー編集部としても

すごく期待している作品ではないかと。

 

67Pってほとんどの月刊誌の初回よりも

多いですし週刊誌で見れば

3話分相当ですからね。

 

それだけに今回のあらすじはこれまでにない程

長くなってしまいましたがとりあえず読んだ感じ

これから先も期待できるのではないかなと。

 

元々田辺イエロウ先生の画が

好きなこともあってちょっと評価は

甘くなっている自覚はありますが

それでも十分引き込まれるものがありましたし

はやく続きが読みたいものです。

 

それにしてもサンデーでは

魔法使いの作品としてはフリーレンが

不動の人気を獲得しているわけですが

そこへオリエンタルファンタジー作品として

参入するのは中々に面白いなと。

 

オリエンタルファンタジーもので

思い出されるのはサンデーで連載していた

大高忍先生の「マギ」ですが

あの作品ともちょっと毛色が違いそうですし

これからどうなるのか期待したいところです。

 

とりあえずそんな今作品の主役となるのは

亡国の王子みたいですが

彼の持つ力に何やら秘密があるみたいですね。

 

まだ一話目ということで

それが何なのかはわかりませんが

話が進んでいくに渡って

色々明らかになるのは間違いないかと。

 

他にも重要そうなキーワードとして

「七色の魔法使い」と「魔法使い殺し」が

これから大いに関わって来そうな感じ。

 

魔法使いがテーマの一つということで

恐らくバトル展開もあるでしょうし

一体どんな戦いを魅せてくれるのかも期待したい所。

 

七色の魔法使い同士の戦いはあるのか

魔法使い殺しとは何者なのか

そして王子の隠された力とは何なのか等々

色々気になるところもありますが

まだ始まったばかりですからね。

 

次回もセンターカラーで46Pという

約2話分相当の大増っぷりですので

一体どんな話が描かれるのか楽しみです!

 

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