2023年6月23日発売の
アフタヌーン 8月号にて連載されている
ヴィンランド・サガ 203話の
ネタバレ&感想になります。
第203話 千年航路⑫
内容ネタバレ
右手は失ったものの結果として
ノウドとの関係を悪化させた
ミスグェゲブージュは
一人森の中にいた。
獲ったばかりの魚を食べながら
傷が癒えたことを確認すると
そろそろ計画を先に
進めなければと考えに浸る。
ギトプイ一族とノウド人の関係は
きっと冷えていることだろう。
だがそれだけでは足りない・・・
奴等を除くには他の部族の協力を
得る必要があると。
失ったこの手もノウド人の
凶暴性を示すよい証拠になると考えながらも
斬られた手に目を向ける。
恐ろしい武器だ・・・。
あんなものを隠し持っていたとは
やはり油断ならない奴らだ・・・と。
食事を終え森の自然をじっと眺めていた
ミスグェゲブージュだが
そこへ息を切らせたプルムクが姿を見せる。
何かを言われる前に
ノウド人から身を隠さねばならないとして
集落へはいかないと告げるが
プルムクはそれどころではないと告げる。
早く!治療師!
急がないとギトプイ一族が
全滅しちまう!と。
一方その頃アルネイズ村では
ヴァルガルが連れて来た
マルクランドの生き残りである
フルートの話が始まろうとしていた。
フルートはマルクランドの生き残りは
どうやらオレだけみたいだと言い
自分達に一体何が起きたのか語り始める。
オレ達も言葉はほとんどわからないものの
マルクランドの先住民とは
わりと仲良くしてたんだ。
彼らは赤が好きなようで
それを彼らの持ってきた毛皮を
交換したりと交流を続けていた。
でも今年の張る頃から先住民達が
オレ達の集落に来なくなった。
心配したがオレ達は
先住民達の集落を知らず
音沙汰ないまま半月経った頃
突然森の中から矢を射かけられた。
その時はなぜ先住民が
急に敵対的になったのかわからなかった。
ただその後は昼夜を問わず
弓を射かけられるようになったが
それでいてオレ達の集落に
乗り込んでくることはなかったと。
とにかく危なくてマルクランドには
住んでいられなくなってしまい
オレはグリーンランドへ帰ろうと言った。
しかし他の連中は別の場所に
拠点を作り直そうと言い
口論になった結果
オレだけ置いていかれた。
その後は山の中に潜伏し
トルフィンが鍋を鳴らしている音も聞こえたが
あの時は先住民の祭りか
何かの音だと思っていたと。
トルフィンはその時の事を思い出し
あれは初夏のことだったが
私達は攻撃を受けるどころか
先住民の気配すら感じることはなかったと話す。
その事を聞いたフルートは
それじゃあたぶんもうその頃には
先住民は・・・と口にし
続きを話そうとしなかった。
それでもトルフィンから促され
その先を口にする。
ある日・・・川で魚を獲ってたら
先住民の死体が流れてきた。
多分上流にあいつらの集落があり
何かが起こったのだと。
ヤバいとは思ったが
川をさかのぼってみた。
ずっと知りたかったんだ
なんでいきなり敵対的になったのか・・・。
そして向かった先に彼らはいた。
大勢・・・みんな死んでた。
みんな・・・大人も子供も・・・
埋葬もされずに・・・。
プルムクと共にギトプイの集落に戻った
ミスグェゲブージュが見たのは
地獄のような光景だった。
集落のいたる所で
大人や子供達が倒れ
それを無事だったものが
懸命に看病していた。
すでに亡くなった者も大勢いるようで
ミスグェゲブージュは絶句し
プルムクも痛ましい表情を浮かべていた。
プルムクは語る。
オレが最初にこの流行り病にかかったんだ。
オレは治ったが他の連中にも
次々と伝染ってしまって・・・と。
その上で症状について説明し
助けてくれと頼むと
ミスグェゲブージュは薬草が必要だとして
プルムクに集めて来るように指示。
そして今出来る対処法を伝え
族長の事を尋ねるが
案内された先には病に倒れ
横になっている族長の姿があった。
そこには族長以外にも
ニスカワジージュの姿もあり
高熱を出し苦しんでいた。
ニスカワジージュ!お前もか!と
驚愕するミスグェゲブージュに
まだ意識があるのか族長が声をかける。
もう喋るのも辛いのか
途切れ途切れの様子で
来てくれたことの礼と共に
一族を頼むと。
そんな族長に対し
ミスグェゲブージュは
私はこの事態を予測すべきだったと謝る。
私は未来で見ていたのだ。
この地に未知の病がはびこる様を・・・。
我々は戦争以上に病のせいで
多くの同胞を失うのだ。
この病はノウド人がもたらした呪いであり
奴らを殺さず我々だけを殺すのだと。
フルートから話を聞いた
トルフィンが悔やむような表情を浮かべる中
ストルクは合点がいったのか
なるほどと呟き持論を語る。
つまりその病気は先住民が今まで
経験した事のない症状であり
それで最近の新しい出来事の中に
病気の原因があると結論した。
つまりマルクランドの人達
との接触が原因だと。
弓で攻撃するが近づいてこないのは
病気を恐れてのことであり
案外ほんとにオレ達が
その病気をヴィンランドに
持ち込んでしまったのかもしれないと。
その話を聞きイーヴァルは
上機嫌に笑っていた。
オレ達は平気で奴らは死ぬ
こんな都合のいい病気はねェ!
ヴィンランドでも同じ病気が流行すれば
オレらの勝ちだと。
そんな事を宣い笑うイーヴァルの前に
ヴァルガルが徐に立ち塞がり
にこっと笑いかけた次の瞬間
イーヴァルはヴァルガルによって
殴り飛ばされていた。
そして兄貴分をやられたガングラディが
ヴァルガルに殴り掛かったことで
村の男達との乱闘が始まってしまう。
トルフィンはケンカなんかしてる場合かと
止めに入るが・・・!?
一方ギトプイの集落では
族長ほか病で亡くなった者達が
荼毘に付されていた。
集落の皆は族長や仲間達の死に涙し
プルムクも自分のせいだと項垂れていた。
ミスグェゲブージュはこれ以上の
病禍の拡大を防ぐことが重要だとして
生き残った者達に今度しばらく
他族と交流してはならないと告げる。
そして皆からの導いてくれとの声に
顧みることなく計画をさらに進めるべく
一人森へと向かうのだった。
防がねばならん
これ以上の災いの拡大を・・・と。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
前回クヌートが流行り病に罹った村を
滅ぼしていましたが
その病が恐らく先住民の間でも
広がっているんでしょうね。
一体どこが発生原因なのかは
今のところ定かではありませんが
先住民側がこの事態を
ノウド人達のせいにするのも
わからなくはないなと。
もちろんノウド人側でも
被害が出ている事を知れば
また変わってくると思いますが
それを知る術がないですからね・・・。
なんにしても流行り病についてですが
これは昔ヨーロッパで大流行した
ペスト”黒死病”ともいわれる
歴史上もっとも有名な伝染病かと。
その症状も合致しますし
なにより黒くなって亡くなるのは
ペストならではだと思います。
細かい数字まではわかりませんが
世界中で5000万人が犠牲になったとされる
人類史上最悪の伝染病と言ってよいかと。
軽く調べて見たところ
ヴィンランド・サガの時代的には
パンデミックが起きた時代とは
少しズレがありますが
中世にもあったらしいので
恐らく間違いないでしょうね。
それにしてもミスグェゲブージュは
ノウド人しか罹らないとか言ってましたが
的外れな事もいいところ。
先程も言ったようにクヌートのいる国でも
被害が出ているみたいですし
全てはノウド人憎さで話しているんだろうなと。
この事態はあくまでも結果としてみれば
ミスグェゲブージュにとって
追い風ともいえますが
ノウド人にも罹患者が出た場合
一体どうするのか気になる所です。
先住民しか罹らないわけもなく
恐らくトルフィン達も誰かしら
罹患するのは時間の問題だと思いますし。
それにしてもペストは一般的に
ネズミを介してノミから罹るらしいですが
やっぱり交易が原因なんですかね?
衛生的にあまりよろしくない時代ですし
船にネズミが乗り込んで
それが各地に広まるとか
十分にあり得そうですし・・・。
ともあれ先住民がペストに罹ったことで
事態は大きく動きそうですね。
先住民との関係をより悪化させようとする
ミスグェゲブージュの存在は厄介ですが
病が病なだけにそちらをどうにかしないと
トルフィン達も危険なのは間違いないかと。
前回クヌートが流行り病に罹った村を
容赦なく滅ぼしていましたが
相手がペストだとすると
悪くない選択だったのかも。
そうでもしないとより多くの犠牲者が
発生したのは間違いないと思いますし。
ただクヌートが言っていたように
トルフィンならばどうするのか
それによって今後の展開が
大きく変わってくることになるかと。