2020年6月25日発売のアフタヌーン 2020年8月号に連載されている
ヴィンランド・サガ 173話のネタバレ&感想になります。
第173話 西方航路⑦
内容ネタバレ
ヴィンランドへ出航する日が近づいたある日
トルフィンはハーフダンとの商談を行っていた。
今回の商品は共に連れて行く馬と羊であり
グリーンランドからの参加者が割と多かったせいか
それほど大口の商談ではなかったものの
互いが納得の上で終えることに。
トルフィンは支払いが銀であることを謝るが
ハーフダンによるとアイスランドには金銀は出ないらしく
腐らないし場所もとらないと問題なく受け取ってもらえていた。
まったくこの島はとことん儲からねぇように出来てやがると
零すハーフダンにヴィンランドなら出るかもしれませんよと
商売人らしく売り込むトルフィン。
そんな彼にハーフダンは世の中を知って
お前もだいぶ知恵がついたようだなと言い
配下の者に運ばせてきたのはたくさんの武器防具だった。
オレもヴィンランドに投資する
オレの財産の保護のためにも武装は必要だと言って
持ち込まれた武器防具を前に
トルフィンは思うところがあるようで・・・。
買っとけ必ず必要になる、お前が戦嫌いでも
それで敵が手加減してくれるわけじゃないと言うハーフダンに
トルフィンは先日イ―ヴァルが訪ねてきた時のことを相談することに。
話を聞いたハーフダンはイ―ヴァルの言う通りだと言い
トルフィンも反論できなかったと
自身の不甲斐なさを吐露する。
ハーフダンはお前が剣を捨てるだけで平和になるなら苦労はなく
暴力は否定するものじゃなく制御するものだと語る。
そして自身の剣を抜きトルフィンに今からお前を斬ると突きつけ
オレにお前が切れると思うか?と問いかける。
トルフィンはあなたは私を斬れないと返し
ハーフダンもなぜかわかるだろうと言い
答えようとしたトルフィンだが
ハーフダンは民会と法律があるからだと話す。
考えていたことと違ったのか首をかしげるトルフィンをよそに
ハーフダンはこの島に生きる者は皆
私闘や復讐などの実力行使の権限を民会に預け、
そして民会は法律に従い裁判によって決定される
刑罰という形でその暴力を行使すると語る。
だが島民皆がオレのように民会と法律に従う奴らばかりではなく
法をナメてる奴らもおり
それは民会には法を執行する具体的な力がないからであると。
つまりは軍団であり
独占した暴力を法に基づいて実行する力
民会にそれが備われば制度は完成すると。
軍団を仕切って違法な暴力を取り締まるには王が必要になるが
故人が強権を預かれば暴走する可能性があると
自身の考えを語り続けるハーフダンだが
話を聞いていたトルフィンの頭には何かが閃きかけていた。
聴いているのかと言われたトルフィンは
慌てて聴いてます、法律が大切と答えながら
未だまとめきれていない自分の考えを語る。
さっき「なぜ斬れないか」の理由を訊かれた時
私は法律と民会以外の理由を思い浮かべていたとして
それは「我々の間には取引がある」
「切ればお互いに損だ」というものだった。
羊の鍋料理を例に挙げ
羊は羊飼いが育て鍋は鍛冶屋が作る
お互いが仲良くしなければ羊の鍋料理にはありつけないと。
話を聞いていたハーフダンが依存しあうってことかと言ったその時
トルフィンの中で考えていたことが結実したらしく
そう、それです!お互いが相手に依存する、
相手がいなければ暮らせないほどにどっぷりと!と嬉しそうに語る。
レイフの話だとヴィンランドの先住民達は
麦や羊や鉄を知らないようできっと魅力的に感じてくれるはずであり
それらの生産物を彼らにちゃんと安定的に提供する。
彼らも私達が魅力的に感じる者をきっと生産しており
それを対価にもらう。
”生産物”であることが大切であり
殺して奪えばいいというようなものじゃ依存関係には発展しない。
どんどん取引をし”商品の力”でお互いの暮らし方が変わり
相手の生活の安定が自分達の生活の安定につながるようになる。
”取引”と”依存”による平和、
これが剣に依らないヴィンランドの平和であると。
トルフィンの勢いに押され黙って話を訊いていたハーフダンから
互いに魅力を感じる商品がなかったらどうすると言われ
トルフィンは商品じゃなくてもいい
技術や知識でも同じだと語る。
要は相手と深く関わって依存することで
部族の間で結婚なんかするようになったら最高だとして
改めてハーフダンに相談してよかったと嬉しそうな表情を浮かべていた。
この次イ―ヴァルさんに会った時にちゃんと
「ただの実験じゃない勝算があるんだ」と説明できそうだと。
その後改めてハーフダンに相談に乗ってもらったことと
いい取引が出来たことを感謝していたところ
そこへコーデリアがやってきて
私もヴィンランドに行けるという朗報が。
ハーフダン様が許して下さったんですと嬉しそうに話す
コーデリアにトルフィンも嬉しそうに応えていた。
そんな彼らの様子を見ていたハーフダンは
何か思うことがあったのかトルフィンに突然
「お前オレの養子にならんか、オレの縄張りを継げ」と告げる。
思ってもいなかったハーフダンの言葉に
呆気にとられるトルフィンをよそに
エイナルとコーデリアは冗談だと思い笑ったが
表情を見るにどうやら冗談ではないようで・・・!?
当ブログでは簡易的なあらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は本誌かコミックスでどうぞ!
感想
最後のハーフダンの言葉で全部吹っ飛んだ感じですが
とりあえずトルフィンの思い描く平和が
ようやく定まったみたいですね。
私的にはハーフダンの考え方の方が
現実的というか理解できるものでしたが
トルフィンの考えも問題は出てきそうですが
前と比べたらずっと実現可能のものになったと思います。
これでイ―ヴァルが納得できるかどうかは分かりませんが
少なくとも前よりは考えてくれるのではないかなと。
おそらくヒルドもこの考え方なら
理解できる部分もあると思いますので
ハーフダンに相談したのは大正解だったのはないかと思います。
話は戻りますがそんなハーフダンが言った最後の言葉ですが
正直本気なのかどうかなんとも言えないところ。
ハーフダンが冗談であんなことを言うとは思えないので
本気だとは思いますがおそらくトルフィンは断るだろうなと。
トルフィンの目がアイスランドではなく
ヴィンランドに向いているのもそうですが
やっぱりなんだかんだ言ってハーフダンの後を継ぐのは
シグやんであって欲しいですしね。
自分なりの考えがあってアイスランドを離れたシグやんですが
なんだかんだで最終的には戻ってきそうな気がしますし。
ともあれハーフダンが真面目にそして本気で言っているなら
トルフィンも本気で応えなきゃいけないと思いますので
彼なりの誠意をもって応えてくれるのではないかなと。
まあ、それだけハーフダンから見て
魅力的に映ったというわけですから
それだけでも十分素晴らしい事だと思いますけどね。
どんな答えをトルフィンが返すのかはわかりませんが
本気には本気で返して欲しいと思いますので
次回どんな答えを返すのか楽しみです。