2022年8月5日発売の
コミックガーデン 2022年9月号で
連載されている魔法使いの嫁 89話の
ネタバレ&感想になります。
第89篇 Give a thief enough rope and he`ll hang himself.Ⅱ
内容ネタバレ
フィロメラが助けを求め
それをチセが受け入れる中
リズベズは変貌し叫ぶ。
どうして何も知らないお前たちが
邪魔をするというのだと。
フィロメラと同じように
姿を変えたリズベズを見て
エリアスは魔術書の影響だと語る。
中身に・・・いや
外に出てこようとしている
”あれ”に引っ張られているんだと。
チセは先程陣を壊したことに触れるが
エリアスは陣はきっかけ
呼び水で——重要じゃないと語る。
魔法も魔術も最後の最後は
”いきもの”の意志なんだよと。
変貌したリズベズは
なんの関係もない奴らが
どうしてしゃしゃり出る。
”それ”が——私がこの家が
どうなろうとお前たちに
何の関係がある!と叫んでいた。
その言葉にエリアスは
まあ関係はないよねと口にし
チセに怒られる一幕もあったが
その隙にフィロメラは後ろへ連れられ
アルキュオネに抱き締められていた。
その光景を優し気に見ていた
チセはリズベズに
真っ向から反論する。
・・・フィロメラはいいひとですと。
おせっかいにありがとうって
言ってくれて助言だってしてくれて
・・・でもそんな子は一杯いる
隠れて苦しんで
死にかけてる子なんて。
——だけど手を伸ばせる場所にいるのに
それを見ないふりするのは私がいやだ。
あなたがやろうとしていることは
あなたにとっては道理がある。
だけど私には”そう”じゃない。
それでこうしてフィロメラが
消費されるなら止めますと。
何をしても差し出しても
取り戻したいと
願うものもないくせに!!
そう叫びチセ達を迎え撃つ
リズベズにとって唯一だった。
私のものだった。
私から産まれた私の味方で
あるはずのものだった。
誰よりも優秀で誰よりも従順で
私に愛されようとしていた。
かわいらしくおぞましい唯一を
奪われた 奪われた 奪われたなら
奪い返さなければ
そう思った次の瞬間
人狼が姿を見せる。
門番の一人を倒した人狼は
リズベズに私のこどもを返せ
魔女め!と叫ぶ。
あの日お前は言った。
言う通り働けば
私の子供たちを返すと!
——だからたくさん殺した。
たくさんの蜘蛛も
連れてかえってきたと。
人狼が正気に戻っている事に
気付いたリズベズに対し
人狼は告げる。
魔女め 私と夫の頭を”だめ”にした
おまえの「枷」は
”かみさま”が壊してくれた。
”かみさま”がわたしに
力を貸したのならば
雷と氷に裁かれるのはお前だと。
リズベズはそんな人狼の言葉を
一笑に付した上で語る。
こどもなどここにはいない。
今日ここにかえってくる
私の子の他は。
一匹だけ一緒に飼ってやったけれど
弱ってたからかしら・・・
すぐに死んでしまったもの。
だからお前のこどもは
もうこの世のどこにもいないと。
そんなリズベズの言葉を
人狼が認めるはずもなく吠える。
嘘だ、誰が魔女のいうことなど
信じるものか!
そんなわけない
・・・おまえが隠しているんだ
その腹に閉じ込めているんだろう
——私の子を!!と。
心を喰らう毒婦め!と
飛び掛かった人狼がリズベズの触手に
貫かれようとした瞬間
その身を盾に防いだのは
アルキュオネだった。
触手に体中を貫かれた
アルキュオネは倒れながら呟く。
・・・哀れなお方 お許しください。
あなたに・・・”あれ”を
壊されるわけにはいかない
・・・私も。
そう口にした瞬間
何かが割れたような音が鳴り響き
闇を纏ったような黒い服を着た
男性がその場に姿を現していた。
男はアルキュオネに
優し気な様子で語り掛ける。
役目を全うしたね
アルキュオネ
大変だったろうと。
アルキュオネは男をマスターと呼び
これが私の役目ですからと
どこか誇らしげに笑みを浮かべていた。
——おまえはと手を止めた
リズベズを見て男は理解する。
「もう二度と君たちに
会いませんように」
なんて僕(あれ)は願ったけど
やっぱりこうなったかと。
そして男が
——なら”ぼく”も
役目を果たさなきゃねと
リズベズへと向き直る中
フィロメラはアルキュオネの元へ。
身体が崩れ落ちようとしている
アルキュオネを見て
フィロメラはただ呆然としていた。
そんな彼女にアルキュオネは
最期の挨拶をすると共に
出来損ないで申し訳・・・
ありませんと謝罪する。
私はあなたのために作られ
あなたが私の理由であったはずなのに
あなたを守れなかったと。
違うと否定するフィロメラに
アルキュオネが代わりにと
差し出したのは
自分の「記録」だった。
イリス様が仰っていた。
自分たちが・・・あなたに
話せなかった時のため
私に「記録」しておくようにと。
私には・・・「記憶」と「記録」の
違いはわかりませんが
これがあなたのお役に立ちます
——ようにと。
必死に呼びかけるフィロメラだが
次の瞬間彼女の脳裏に
アルキュオネの「記録」が
浮かび上がる。
そこにはフィロメラが忘れてしまった
優し気な両親の顔とそんな両親に
愛されている幼い自分の姿が・・・。
両親の記憶を見た
フィロメラの目には
涙が溢れていた。
その様子を見ていた
アルキュオネはこれで
私がいなくとも
もう大丈夫ですねと言い残し
フィロメラの腕の中で
安心したようにその命を終える。
手のひらには彼女の元になった
一羽の鳥が残されており
フィロメラはあなたの「記録」じゃ
あなたが足りないのにと
涙を流すのだった。
リズベズは突然姿を現した
男に問いかける。
——なぜここにいるの アダムと。
アダムの姿をした男は
”ぼく”は”ぼく”であって
僕(アダム)じゃないと語る。
——僕(アダム)はアルキュオネに
役割を抱えさせた。
フィロメラを守り世話をし・・・
その自分を壊して
彼女に脅威を与えるものに
報復する「呪い」をと。
その上で男はリズベズに語り掛ける。
これでも僕(アダム)は
期待してたんだぜ。
装置(アルキュオネ)を
孫のお守りを壊すのが
あんたでないってことをさ。
けど結局は僕(アダム)の
予想通りになった——
そう話したところでリズベズは
あの子でないなら用などない!と
男に触手を向ける。
しかしそんな攻撃も
男には全く意味がなかった。
貫かれたものの血すら流れず
何事もなかったかのように
ただその場所に存在していた。
男は告げる。
”ぼく”は僕(アダム)の形と
記憶を複写された「呪い」。
記憶を宿した死者の影・・・
霊でもないし中身そのもの
——魂でもないいわば
命令(プログラム)だ。
そんなものは届かない。
届くのは——逆 ”あんた”にだ
リズベズ・サージェント。
そう指を向けた瞬間
リズベズの触手は溶け落ち
身体は崩れ始める。
事態を理解出来ないリズベズに
説明するかのように男は語る。
僕(アダム)の
最後の「嫌がらせ」だと。
——魔術は複雑な術式ほど
効果も強いし長く継続する。
術式そのものが術者を縛り
その代わりに確固たる結果を得る
「理(せかい)との契約」なんだと。
呪術だって基本はそうだ。
だけどこんな性質もある。
「縛り」が単純なほど
強固で単純な力を持つのだと。
——ある神話の英雄は
犬の肉を食ってはいけないと
誓約(ゲッシュ)——
「縛り」があった。
破ってはならない代わりに
偉大な力を得ていたんだ。
——僕(アダム)がかけた
「呪い」の話は今しただろう?
だから呪い(ぼく)は
敵(あんた)を壊すべきなのさと
笑みを向けるのだった。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックス、
MAGCOMIでどうぞ!
感想
前にアルキュオネの回想で
アダムがアルキュオネに何かを
任せている描写がありましたが
こういう事だったんですね・・・。
そしてその回想の最後に
アダムが・・・母さんひとつ
最期に賭けようじゃないかと
自分を撃つ前に呟いていたことも
これを指していたのかと。
今回の話を読む限り
アダムとしてはそうなって
欲しくはなかったんでしょうね。
予想通りではありましたが
出来ることならばリズベズが改心して
フィロメラをちゃんと育ててくれれば
特に何も起こらなかったわけですし。
リズベズが唯一愛した息子を
取り戻したいというのも
わからなくはないんですけどね・・・。
ただその息子も結局のところ
リズベズに反発して
ああなったわけですし
正直救えないなと。
それにしてもアダムが
アルキュオネに施した呪いですが
エリアスが無理矢理壊してたら
やっぱりエリアスに呪いが
向けられることになったんですかね?
それともあくまでもそれに伴って
フィロメラに危害を加えようとしたとか
そういう理由がなければ
大丈夫だったり?
その辺り判断するために
アダムは呪いに記憶を複写したのかも。
まあ、なんにしても
アダムがフィロメラの為に
遺した呪いですので
かなりエグイ事になりそうです。
わざわざクーフーリンの誓約を
例に出してまで説明したくらいですし
考えられる想定以上に
強力な呪いなんだろうなと。
そんな感じでおそらく
リズベズはどうしようもない状況に
追い込まれるのは間違いないかと。
他に気になる事と言えば
人狼に対してリズベズが
子供はもういないと言ってましたが
そうなるとザッケローニへ
襲い掛かった獣人の子供について。
あの状況で出て来た以上
人狼に関係しそうな気がするだけに
実は・・・みたいな展開が
あってもいいんじゃないかなと。
そのくらいないと
いくら罪を犯したとはいえ
人狼があまりにも不憫だと思いますし。
今回のシリーズはかなり
シリアスというか救いがないので
それくらいはあったらいいなと。