2019年11月28日発売の週刊ヤングジャンプ 2019年52号に連載されている
キングダム 623話のネタバレ&感想になります。
第623話 模を示す
内容ネタバレ
龐煖を”人”の代表だと評した李牧は
彼について語るならばその出会いについて話さねばならないと
今から十九年前のことを語り始める。
李牧が”戦”に溺れた愚か者で
多くのものを失い続けてきた時のことを・・・。
李牧はとある戦にて大敗し敵に追われ
臓物を引きずりながら一人深山をさまよい
その命も失いかけていた。
そんな彼が運命的に出会ったのが
虎の首を携え矛を持つ龐煖だった。
朦朧としていた李牧は何故か彼を人と思えず
最後に山に住まう人外の何かを見たのかと思っていた。
そんな李牧に対し龐煖は
我が道を阻む者は余さず屠り土に還すと告げ
李牧の首へと刃を向ける。
図らずも両者の視線は交わり
何故か刃を動かさない龐煖に李牧は
既に生きる気力すら喪っているのか
目障りならば殺すがいい、俺にはもう何もないと告げ
諦観の表情を浮かべていた。
そんな李牧に対し龐煖は
貴様の”役目”はまだ何も果たされていないと告げる。
貴様らには聞き取れぬ声、”地”の声が俺には聞こえる。
貴様は俺の道を答えに”導く者”であると。
何を言っているのか理解できずにいた李牧だが
龐煖はいずれ分かることだとして
俺の名は”求道者”龐煖だと告げ去るのだった。
あれから眠ってしまっていたのか
朝、目を覚ました李牧は何故か起き上れるくらいに
体が治っていた。
そしてフラつく足で少し歩くと
そこには李牧を追ってきていた敵の死体の山が
築き上げられていたのだった。
李牧は告げる。
”求道者”とは文字通り”道”を求める者であり
その道とは”人の救済”であると。
カイネたちが困惑する中
李牧は龐煖に命を救われた後しばらく軍を離れ
龐煖が何だったのか”求道者”とは何か放浪したのだと語る。
彼ら求道者はこの五百年の戦乱の世よりも
さらに古い争乱期から存在していたそうだと。
そして争いを繰り返す人の世の愚かさを憂い
どうにかこれを救えないかと真剣に考えた賢者の集団
それが求道者の始まりだった。
そんな彼らの願いとは裏腹に拡大していく争乱の世に
彼らはやり方が間違っていると結論を出した。
この争いの世の中で”道を探しても”答え”は無いのだと。
なぜなら偏愛がある限り争いは生まれ
”情”がある限り苦しみの世は変わらぬと。
カイネは情があるから”思い”があるから人ではありませんか!と
反論するが李牧はその通りだと同意した上で
故にその大いなる”矛盾”を解くためには
人は皆、人を越える存在にならねばならぬと考えたのだと。
求道者たちはただひたすらその道を探し
まずは自分達が人を越える”模”を示さねばという事に
思い至ったのだと。
李牧はここからは我々凡人の理解を超える話であると前置きした上で
彼らの考えでは”生”の営みは一個でもある奇跡の”模”を示した時
全体にもその変化が起こり皆が一斉に上の存在に昇るのだと語る。
故に彼らの道は
人を越えし”模”を天に示すことであると。
その内容があまりにも衝撃的だったためか
まるで理解できぬものも一端が理解できたものも
等しく困惑を隠せずにいた。
李牧はそれが龐煖の道であるとして
求道者は彼らの中の一人でも人を越え
神に近しい領域に立つ時
我々”人”は今とは違う上の存在に変化し
争いを止め苦しみの世から完全に解放されると
本気で信じているのだと語るのだった。
誰も言葉を発することが出来ずにいる中
カイネはそんなこと起こるはずがないと口にしながらも
何故か左目から涙が流れていた。
他の者も同様のようで李牧は崖下にて
戦いを繰り広げる龐煖と信の戦いを見ながら
求道者達の目的は人の救済であり
そのために彼らはそれぞれの道から
人より天い存在を目指しているのだと語る。
ある者は土くれになるまで瞑想し
ある者は宙に舞うために谷へ身を投げたという
笑い話も聞いたと。
そして龐煖は全てをかけて
武神にならんとする道を・・・。
当ブログでは簡易的なあらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は本誌かコミックスでどうぞ!
感想
今回はなんて言えばいいのか
宗教観というか死生観というか
色々端折ることも難しく
長くなってしまいました。
ようやく前回からの流れで
信と龐煖のアツいバトルが見られると思っただけに
少し残念ではありますが
龐煖に対する疑問が少しは晴れたのかなと。
この世界と言うか時代的に
龐煖達求道者という集団が異端であることが
よくわかったのではないかと思いますし。
もちろんやろうしていること目指していること自体は
崇高なものだとは思いますが
普通の人が本質的な部分で理解できるものではないでしょうね。
当然私も理解できない一人ですが
彼らは本気でそれを目指したんだろうなと
感心するやら呆れるやらと言う感じでしょうか。
龐煖の行動原理がそんな崇高な意志に基づいているとはいえ
信にとっては戦いを辞める理由にはならないので
結局ケリをつけるしかないでしょうしね。
なんにしても今回は龐煖の背景等の説明回って感じでしたので
次回こそは信とのアツイ戦いが見れればいいなと。