ネタバレはあくまでも詳しくなりすぎず
流れを理解できるくらいの内容となっておりますので
詳細が知りたい方はいずれ出るDVDやBDを購入することをオススメします!
第30話 真昼の月/冒険者たち
内容ネタバレ
<Chapter.60 真昼の月>
零からひなたの近況について聞かされた林田は
担任のあまりの対応に怒り狂っていた。
その担任に言ってやりたいことがあると怒り心頭で暴れる
林田を羽交い絞めにし必死に抑えながら零は
自分も同じ気持ちだが役に立てないことを吐露する。
その上で何でもおごりますから知恵を貸してくださいと懇願するが
林田からでお前はたったの高校二年生俺は教師だ
教師舐めんなよと反対に怒られてしまうことに。
ようやく落ち着いた林田は改めてこの問題について話し合うが
零から父親も当てにならないことを聞かされ
何故か自分が出るしかないと言い出し・・・!?
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色々なことを話し合った帰り道
林田先生は教師の意地だと言って肉まんをおごってくれた。
零はズレてるとかガンコだとか悪口を言われたが
必要とされたい、だから強くなりたいと思う気持ちの
どこが不純なんだと背中をたたかれた。
そしてお前はお前に出来ることをまずいっこいっこやるしかないんだよと
深く息をして一歩一歩行くんだよと・・・。
順調に勝ち続けていた零だが
新人戦決勝はあれほど意気軒高だった二海堂ではなく
その対戦相手である山崎順慶になった。
バカ野郎、あんなことさんざん言っていたのに・・・と思いながら
将棋会館を出ようとした零だが
丁度神宮寺会長と島田の話が耳に入る。
どうやら二海堂はまだ大阪から戻っていないらしく
あちらの病院で入院することになると聞いた
零は思わずどういうことですか?と声をかけ・・・。
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<Chapter.61 冒険者たち>
声をかけた二人がしまったという顔をしたのを見て
零は知らなかったのは自分だけなんだと気付く。
二人は誤魔化すように大したことないとその場を後にしようとするが
零が引き下がらないのを見た島田は
訊かれてもオレが答えないなら何か理由があるからだよな?
そんくらい解れと諭すように告げる。
零もまたほんとはうすうす気づいていた。
いつも側を離れない花岡さん、美しく彩られた色の薄い弁当、
いつもバッグの中に見えていたたくさんの薬・・・。
ほんとはずっと訊けなかった・・・。
二海堂が訊かれるのを嫌がってたことくらい子供の頃から解っていた。
しかし零がそれならその理由ごと全部聞かせてもらうわけにはいきませんか!?と
引き下がらないことを理解した島田は
あとをよろしく頼むと言いその場を離れた神宮寺の代わりに語り出す。
自分で最後だと言っていた師匠から弟子をとると聞かされた島田は
弟弟子となった小学四年生の二海堂を紹介されることに。
その子は子供大会のゲストで講師をやった時に見かけた子だった。
少年時代貧乏で苦しんだ島田は特製弁当を広げる彼をみてやっかんだが
準決勝で負けた少年の棋譜を見て驚くことに。
185手にも及ぶ超力戦。
ほんとに小学生の将棋かと思うほどだったが
ふと救急車を呼ぼうとする案内係の男に気づく。
その相手は先程の少年だったようで
具合が悪くなったのかぐったりとしており
付き添っていた老人に看病されていた。
その老人の落ち着いた対応に少年の長い闘病生活が垣間見えた。
将棋というのは正直で勉強した分しか上手くならない。
そうここにあるものは楽しい子供時代なんて平気でかなぐり捨てた
一人の人間の棋譜だった。
いや違う・・・彼は投げ捨てられる程の子供時代なんて
はなから持ってはいなかったのだ・・・。
あるとき師匠の代理で二海堂の家に行くことになった島田は
彼と時々指すようになった。
だがある日体調を酷く悪化させ連敗を続けていた彼を
勇気づけたくてやってしまったことが彼を傷つけることに。
そういう手加減はしないでください!
将棋でまで弱い人間扱いされたら
もうボクはどこで生きていったら良いんですか!?と涙ながらに訴えられ
島田はもう二度とこんなことしないからと謝ることしか出来なかった。
彼の病は難病とされるもので一生付き合ってゆかねばならないもので
厳しい食事制限、悪化させぬようにひたすら息をころすように過ごす日々、
ケンカもスポーツも友達と遊ぶことすらほとんど全てかなわなかった。
彼が唯一ヒーローとなって暴れ回る事が出来るのは
このたった81マスの盤上のみなのだ・・・。
島田から準決勝の棋譜だと渡された紙は2枚あった。
持ち時間をフルに使った最初の一局。
劣勢だった将棋を粘りに粘って優勢に転じたその直後
相手による千日手、その果ての指し直し・・・。
そこからの一分将棋による魂を絞り出すような138手・・・。
棋譜を見ながら涙を流す零に島田は
お前はそれでも二海堂にこんなむごい事をしてやれるか?と
問いかける。
零は涙を拭い受け取った棋譜を大事にバッグにしまうと
力強い表情で決勝戦に行ってくることを告げ
島田もまたそんな零にただ、ああと応えていた。
新人戦決勝戦は
一週間後関西将棋会館にて行われる。
雨が降ってきたことで駅まで二人で走る中
零は二海堂の棋譜を思い出していた。
迷い、ためらい、ひるみながらもそれでも自分の今までを信じて
憧れの地を目指して火の玉みたいに突き進む・・・、
まるで一篇の冒険小説のようだった。
感想
ようやく零が二海堂の病について知ったわけですが
正直なんていったいいかわからないですね・・・。
二海堂の言う通りその事を零が知ってしまえば
知らず知らず手加減してしまう可能性もあると思いますし・・・。
ただまあ、そんなことを聞かされた零もまた
あれだけ決意を秘めた表情を浮かべているくらいですから
いざ対局しても手加減だけはしないんじゃないかなと。
まあ、それも今の零だからそうなっただけで
以前の零だったらダメだったかもしれませんけどね。
それにしても今回は零も島田さんも二海堂側の人間ですので
ちょっと相手が悪いイメージですが
私的には正直何とも言えないところ。
相手がわざと千日手に持ち込んだのかどうかはわかりませんが
将棋のルールとしてそういうものがある以上
結果として二海堂の体力のなさが負けに繋がったのではないかと。
もちろんそれを残酷だとかむごいとかいうのは簡単ですが
それは二海堂本人も理解した上での対局なわけですし
本人としてはきたないとか卑怯とか言わずに力及ばずという感じなんじゃないかと。
もし仮にわざと千日手に持ち込んだとしても
スポーツに例えると分かりやすいですが
体力に不安がある選手にムダに体力を使わせようとするのは
卑怯でも何でもないですからね。
まあ、こればっかりは真剣勝負であり対等の立場である以上
勝敗が全てとは言いませんが
あの対局において相手が上だったとしか言いようがない気がします。
それもあくまでも第三者として客観的に見ればのことですので
ひどいとかむごいとか思うのも分からなくはないんですけどね。
ともあれ敵討ちというと変な感じですが
決勝に向けて零に気合が入ったのは間違いないですので
決勝戦が楽しみです。
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