2025年10月15日発売の
週刊少年サンデー 2025年46号に掲載されている
葬送のフリーレン 第147話の
ネタバレ&感想になります。
第147話 英雄のいない地
内容ネタバレ
各所で戦闘が起き
フリーレン達も動き出す中
レーヴェは一人空を見上げていた。
そこへやってきた執事が声をかけると
レーヴェは口を開く。
わかっている。計画は順調に進んでいる。
だがここは驚くほど静かだなと。
宵の明星を見ておられるのですかと返す執事に
レーヴェはああと応えつつ語る。
南側諸国を思い出す。
昔は共に、よく夜空を見上げたと。
執事はそんな主をレーヴェではなく
ヘルトと呼び、語り掛ける。
君が何もかも背負う必要はない。
私は力及ばずな師であったが――
そう執事が口にした瞬間
レーヴェはそんなことはないと否定する。
それとその名で呼ぶなと。
執事は問いかける。
・・・わかっているのか?
最後になるかもしれないと。
その言葉に対しレーヴェは
最後だからこそだと語る。
俺はロベルーア領総督の”レーヴェ”で
お前はその使用人の”爺”だ。
俺達の素性が、その偉業が
歴史に残ることはない。
いや、これから起こるのは
偉業ですらないな。
人類も魔族も平等に、魔力を失い
この世界から魔法が無くなる。
神話の時代に書き換えられた
世界の法則が、元の形に戻るんだ。
ただそれだけのことだと。
~レーヴェの回想~
俺の人生が変わる瞬間には
必ず”魔法”が関わっている。
一度目の”魔法”は、物心が付いたばかりの頃だ。
兄が流れ弾から俺を庇って死んだ。
空から降り注いだ光の矢の内のたった一本が
兄の命をあっさり奪った。
俺の生まれた南側諸国は
魔族の勢力圏である大陸北部から
遠く離れている代わりに
人類同士で争っているいかれた場所だった。
魔法は人を殺すための道具で
市街戦の巻き添えなんて珍しいことじゃない。
何処にでもあるありふれた不幸。
それ程までにいかれていた。
二度目の”魔法”は――
今でも目に焼き付いて離れない。
俺の町はたった一晩で消え去った。
残ったものは瓦礫の山だけで
両親の死体すらも残らなかった。
いや、大人達の口調では
実際には死体が見つかっているようだった。
だが原型を留めていないそれを
子供に見せられるはずもない。
それよりも衝撃だったのは
この地獄のような惨状さえ
”巻き添え”であったということらしい。
南側諸国の戦争で使われている魔法は
最早人類の制御下に置かれているとは言えなかった。
俺はただ目的もなく呆然と立ち尽くしていた。
何時間、何日、それすらもわからない。
何度か話しかけられ
連れ出そうとしてくれたことも覚えている。
それでも俺は頑なに動かなかった。
大人達も引き上げ、辺りが静寂に包まれた頃
切っ掛けはなんだったか覚えていない。
ふと視線を上げたとき――
倒れている勇者ヒンメルの像が目に入った。
そのとき俺はいつも両親に聞かされていた
勇者ヒンメルの英雄譚を思い出した。
子供の頃は誰もが憧れる偉大な勇者だ。
俺もそうなりたかった。
気付けば俺は必死にその像を起こそうとしていた。
無駄な行為だってことはわかっている。
それでもこの像は、世界に平和を齎したこの勇者は
こんな所で倒れていていいものじゃないんだ。
本当に無駄な行為だ。
これで何かが変わる訳じゃない。
それでも英雄譚に出てきた勇者ヒンメルなら
こんな所で呆然と立ち尽くすなんてことはしない。
そんな風に思ったその時、私も手伝おうと
汚れたマントを纏った男が姿を見せる。
後の師となる男だった。
こんなものは偶然に過ぎない。
それでもこの偉大な勇者の像が
俺達を巡り合わせたのだ。
ヒンメルの像を起こした後
男は言った。
君も勇者ヒンメルが好きなのかい?
私も彼に憧れてこの国を守る戦士になった。
間に合わなくてすなまい。
許してくれとは言わない。私を恨めと。
ヒルト(レーヴェ)は薄汚れた男の
格好に目を向け口を開く。
おじさんは遠い場所で
他の人達を守るために必死に戦ってたんでしょ。
何も悪くないよと。
その言葉に男は・・・子供が
そんなこと言っちゃいけないと返すが
ヒルトは言葉を続ける。
父さんの友達でしょ。
おじさんのこと、何回か見たことあるよ。
だから辛いのも、助けたかったのも
悔しいのも、全部同じだと。
そんなヒルトの言葉に男は
じっと目を下に向け語る。
・・・だから子供がそんなこと
言っちゃいけないんだと。
男の名はレーラー。
あとになって知ったが
彼はこの国最強の戦士だった。
幾多の戦場を渡り歩き、百戦百勝と
謳われるほどの戦果を持っていた。
本当に皮肉でしかない。
戦乱の絶えない南側諸国では
”その場にいない”
たったそれだけの理由で
百戦百勝の戦士が負けるのだ。
どれ程個の力が強かろうが
一人は一人でしかない。
だがそれでもこの男の目には
何かを諦めきれないような
確かな熱意があった。
南側諸国は地獄だなとレーラーは言った。
こうして必死に戦っていれば
いつか誰かが、英雄のような誰かが現れて
南側諸国に平和を齎してくれると信じていた。
だが、誰かじゃ駄目なんだな。
そんなものは現れなかった。
平和を願う私自身が
それを成し遂げなければならない。
勇者ヒンメルならきっとそうすると。
今思えばこの像が――
決して諦めることのなかった勇者の英雄譚が
彼に熱意を思い出させたのだろう。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
今回はレーヴェの過去について
色々と明らかになった回でしたが
”不幸”の一言ですね・・・。
彼が何をしたわけでもなく
天災に遭ってしまったかのように
ただただ”不幸”だったと。
南側諸国ではありふれたことで
そう珍しくもないことなんでしょうけど
それが当たり前にあること自体
不幸としか言いようがないです。
そんな少年期を過ごした
レーヴェ、当時はヒルトですが
師となるレーラーに会ったことで
彼が歩むべき道を定める切っ掛けになったのかも。
まあ、それがどういうものなのかは
次回三度目の”魔法”で明らかになるかと。
ただ冒頭の様子を見るに
”魔法”そのものをこの世界から
消し去ろうとしているっぽいですね。
それが可能なのかはわかりませんが
少なくとも彼の半生が魔法によって
不幸になったのは間違いないので
そういったところからなのかも。
そうなると影の戦士が
ゼーリエを暗殺しようとするのも
理解出来なくもないかなと。
ただ色々と気になることもあって
一つは影の戦士って帝国の秘匿部隊だったのでは
なかったのかについて。
まあ、解散を命じられて
表向きは解散しているっぽいので
そう矛盾はないのかもしれませんが
なんか腑に落ちない部分も・・・。
それともう一つは”魔法”自体を
無くそうと考えているとして
女神の魔法はどうなのかなと。
影の戦士の中でも神父やシスターがいるわけですし
そのあたり気になるところです。
ともあれ現段階ではその辺りのことは
語られていませんので
今後に期待するしかないのかも。
気になる続きについてですが
本誌上で発表されましたが
長期休載に入るとのことです。
再開の時期も含めて
今後本誌でとのことですので
恐らく年内は再開されないかと。
体調不良が原因らしいですので
無理をしないで連載できるようになったときに
再開してくれることを願うばかりです。
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