2025年9月4日発売の
週刊ヤングジャンプ 40号に掲載されている
キングダム 第848話の
ネタバレ＆感想になります。
第８４８話 王の姿
内容ネタバレ
趙国王都邯鄲郭開別邸にて
郭開に従う者達が集まっていた。
そんな彼らの話題に上がっているのは
これから始まるであろう
秦との戦いについてだった。
先日武安に各将が集まったことは
当然ながら彼らの耳に入っており
今日李牧が出陣前の挨拶に
王に謁見に来ることになっていた。
しかし文官達は複雑な思いを抱えていた。
李牧に活躍されては困るが軍が敗れても
秦軍が邯鄲に押し寄せるのはもっと困ると。
現実に韓が滅ぼされたことで
秦が本気であることは明らかであり
李牧の足を引っ張り過ぎても
軍が敗れれば韓の二の舞もあり得る。
だがこのまま二番手勢力のまま
朝廷に居座っても李牧が秦軍に勝ち
奴が朝廷に腰を据えるなら
自分達が排除されることは明らかであり
何か方策はないかと意見を出し合っていた。
しかし郭開を含めてこの状況を
打破する方策は出ず
ある文官が姚賈に声をかける。
貴殿は確か李牧陣営にも
顔が利くという話ではないか。
何か奴の弱みのようなものは・・・と。
集まりの中、声をあげることなく
文官達に溶け込んでいた姚賈は
郭開からどうなのじゃと促され語り始める。
恐れながらこの姚賈は郭開様の命を受けて
李牧陣営に潜っておりますが
奴の警戒は厳しくどうしても腹心のような
深い所までは辿り着けておりません。
そのために皆様同様に
決め手となるような策は思いつきませぬ。
・・・私が思いますに前王悼襄王の時は
王と李牧の関係は明確に反していましたので
つけ込む隙がありました。
がしかし 今は大王と李牧の関係は
良好ではないにせよ
反発し合っているというわけでもなく
そこの切り崩しも正直
難しいのではないかと感じます・・・と。
姚賈の言葉に皆が同意の声を上げる中
郭開はじっと姚賈に目を向け問いかける。
姚賈 貴様はまだ儂の”犬”なのであろうなと。
郭開の言葉に場の雰囲気が緊張する中
姚賈は当然ですと返す。
天地が裂けようとも私は死ぬまで
郭開様の”犬”です。
・・・お疑いならこの姚賈 命を投げ捨て
李牧の首をかき切って来ますがと。
じっと姚賈の目を見ていた郭開は
疑いが晴れたのか鼻を鳴らし
それが出来るならこれ程悩まぬわと告げる。
その上で引き続き貴様は
李牧陣営に潜み奴の弱みを握れと申し付け
姚賈が必ず郭開様の期待に応えてみせますと
返したところで間もなく李牧が
邯鄲へ到着する模様ですとの報告が入る。
未だ李牧に対する策がないものの
向かわないわけにはいかず
郭開は皆に一旦大王の元へ行くぞと告げるのだった。
一方その頃、同好の趣味を持つ配下の者達と
楽しんでいた趙王遷の元にも
李牧が邯鄲に間もなく到着するとの報が届いていた。
その報を受け遷は戦争準備とかぬかして
全く邯鄲に近づかずに形式的な
開戦前の挨拶だけしにやって来るのだなと嗤う。
配下の者は李牧などどうでもいいとばかりに
行為を続けていたが遷は上から李牧を見てやろうと
思い立ったらしく行為を中断し
李牧が来るであろう東門へと向かうことを決める。
東門から入ってくる李牧を見下ろせる
黄貴橋へと向かう中、ここからならば
階段の方が早いとして輿から降りた遷は
自分の足で配下のものと共に黄貴橋へ。
そして実際に己の目で民から熱狂的な歓声を受ける
李牧を見ることになるが
その光景は考えていた以上のものだった。
趙王遷は即位してから王宮に閉じこもり
自身の趣味の酒池肉林を興じるだけの生活をしていた。
王宮外に出たのは久方ぶりであり
この時初めて知ることになった。
民衆の李牧への熱狂の凄まじさを。
その光景に趙王遷は圧倒され
ふとあることが頭をよぎった。
李牧こそがこの国の・・・
そんな事を考えた矢先、遷の耳に
同じように李牧を見にきた文官達の声が入る。
その文官達は李牧様こそが趙の救いであり
朝廷のことも含めて李牧様だけが頼りだと話していた。
そして一人の文官が口にする。
いっそ李牧様が王になられれば
国は本当に安泰となるのだがと。
もう一人の文官は滅多なことを言うなと
発言を諫めるが次の瞬間
失言した者共々遷に従う者の手により
城壁から落とされていた。
少し離れた場所にてそれを目撃した姚賈は
黄貴橋に遷がいることに気づき目を向けるが・・・
遷との謁見に臨んだ李牧は
郭開らに見守られながら
形式通り出陣の挨拶をしていた。
そして謁見を終え去ろうとした
李牧を遷は呼び止め問いかける。
お前俺のことちゃんと王だと思っているよな？
俺が王でお前は臣だと。
李牧がもちろんですと返すと
遷はだったら今そこで裸になれと命じる。
王命だ 脱げ李牧と。
遷の言葉に場の雰囲気が一変する中
李牧はしっかりしてください大王と行為を諫める。
ここは余興を興じる大王の宮殿ではありませんと。
その言葉に郭開に従う文官の一人は
無礼だと声を上げるが
遷は周りは黙っておれ！と声を上げ
じっとこちらを見ている李牧に目を向ける。
そして自分の言葉に従おうともしない
李牧に対し口元に笑みを浮かべながら問いかける。
父王の時といい貴様は何故いつも王に楯突くのだ？
もう少し器用に立ち回れぬのか貴様は。
李牧・・・貴様の望みは・・・
そう口にした時、李牧は口を開く。
楯突いてるつもりはありません。
ただ国のために・・・王のためにと
務めているつもりですと。
その言葉に遷は前者は認めるが
後者は違おうがと返すが
李牧は恐れながら王を諫めるのは
王のためですと語る。
それをせずにただヘラヘラと
へつらうだけの佞臣こそ
国家と王にとって害虫以下の害。
まずは王にそのことを
十分にご理解頂きたく・・・と。
李牧の言葉を受け遷は父王が貴様を
心底嫌がっていた気持ちがよく分かると
笑みを浮かべていた。
そして口にする。
・・・普通のことが簡単ではない
人間もいることを知れよ李牧と。
そんな遷の言葉に一瞬ハッとした
表情を浮かべる李牧だが
申し訳ありませんが王とは自分に
厳しくあらねばなりませんと。
なんとも李牧らしい言葉に
遷は鼻を鳴らしながら
もうよいと告げる。
どうやらまだ酒が残っているようだ。
お前の言う通り余興が過ぎたわと。
遷が王命をあっさり撤回したことに
カイネらが驚きの表情を浮かべる中
遷は言葉を続ける。
思えば俺は生前の父王とほとんど会っておらぬ。
つまり王の姿を見ておらぬ。
まァ見たところでロクなものでは
なかったと想像がつくがなと。
その言葉を受け李牧は語る。
前王の姿を見ずとも王の姿を学ぶことは
いくらでも出来ます。
大王さえ宜しければ秦軍を撃退した後
この李牧がお教えさせて頂きますがと。
その言葉に郭開の表情が変わる中
遷はごめんだと笑みを浮かべる。
貴様は俺の至高の快楽を取り上げると。
それでも李牧は戦が終わった暁には
そこも含めてお話しさせて頂ければと言い
遷は敵はまた強大なのであろうがと
フッと笑みを零すと郭開に告げる。
李牧にさらに王都軍五万を預けろと。
その上で李牧に告げる。
行け李牧！お前との話はお預けだ。
秦軍の悪鬼共を殲滅し
再び邯鄲に凱旋せよと。
李牧が王の言葉を拱手を以って受け入れる中
思わぬ展開に他の者達は騒然としていた。
そうした中、文官の一人として
謁見に参列していた姚賈は
何か思うことがあるらしく
その視線は遷へと注がれていた。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ！
感想
前回の予告通り邯鄲がメインの回でしたが
何やら趙王の様子がおかしかったですね。
まあ、あれだけ民の熱狂振りを目の当たりにしては
揺れるのも仕方ないのかもしれませんが。
ただ趙王が李牧に対して
今までとは違う目を向けたことで
八方塞がりだった郭開派閥としては
良くも悪くもこの状況を打破するきっかけに
なり得る可能性もあるのかも。
姚賈が言っていましたが
前王の時は王が李牧を敵視していたからこそ
怪物と呼ばれる李牧をその権力をもって投獄
処刑する一歩手前まで出来たわけですからね。
もし現趙王である遷と李牧の間に
楔を打ち込むことが出来たならば
もう一度投獄させて今度は処刑することも
可能なのではないかなと。
もちろん展開次第では逆に
趙王と李牧が今以上に近づく可能性もありますが
郭開らとしてみればもう後がない以上
その手しかないのではないかと思います。
それに前にどこかの回の感想で書きましたが
怪物と呼ばれる李牧の最大の弱点は
王が必ずしも李牧の味方ではないことですからね。
姚賈としても李牧を排除するために
利用できるものは利用すると思いますし。
まあ、実際に姚賈が李牧排除に動くかどうかは
今のところ定かではありませんが
思うところがあるのは間違いなさそうですし
何かしら動きがあるのではないかなと。
第８４９話へ