ネタバレはあくまでも詳しくなりすぎず
流れを理解できるくらいの内容となっておりますので
詳細が知りたい方はいずれ出るDVDやBDを購入することをオススメします!
第19話 夜を往く/京都①
内容ネタバレ
<Chapter.39 夜を往く>
将棋盤はずっと赤ん坊の頃から
あたり前に目の前にあった。
島田の育った所は東北の雪ばっかりの村で
そこには同年代の子供もおらず
遊ぶといったら1人で虫を捕るかゲームするか
本を読むくらいしかなかった。
しかしそれもやりつくしてしまったある冬の日
近所のじいさまたちが将棋を教えてくれた。
すぐ終わりが来てしまうマンガやゲームとは違い
将棋はどこまで行っても終わりがなくどこまでも自分を夢中にしてくれた。
それから小学校の2年で村中の大人を負かすようになり
小3になる頃にはバスに揺られて市内の小さな将棋道場へ通うように。
そこでもどんどんクラスがあがり道場の先生の紹介で
大内先生の門下に入り東京の奨励会に入ることになった。
中学生の自分にとって東京は遠く
月2回の奨励会へ通う交通費を捻出するため
村中の様々な仕事を手伝いをして回った。
バイト代と応援してくれたじいさまたち、
地元の将棋クラブの後押しで奨励会に通い続けた
その頃から胃はいつもこんな調子だった。
三段リーグは誰もが口にしていた通り鬼の棲家であり
そこで何年も動けなくなったが
それでも故郷のじいさまたちはずっと応援し続けてくれていた。
ギシギシと軋む夜行バスのシート、果てしなく続く夜の道。
そのうち軋んでいるのがシートなのか胃袋なのか
それとも心なのかわからなくなった。
どこまで行っても辿り着けないのではとうなされた。
でもみんなの期待もどうしてもムダには出来ずしたくなかった。
その痛みをオレは多分今も抱えている・・・。
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そんな島田の家にやって来た零は
春休みと言う事もあり適当に色々買い込んで来ていた。
そして体調が悪そうな島田の為に昼ご飯を作った零は
4局目が5日後ということもあって
今は体調を整えるのに専念すべきではないかと帰ろうとするが
結局島田に押し切られる形で将棋を指すことに。
そしてその最中、A級と指せることで勉強になるが
自分ばっかり得していないかと島田に問いかけたところ
返ってきたのは宗谷名人と零はちょっと似ているという言葉だった。
零が以前盤面を見て”気持ち悪い”と言ったが
宗谷名人もまた同じように”気持ち悪い”と答えたらしく
しいて言えば視点が似ているとのことだった。
さらにオールラウンダーな所も似ており
だから向かいに座って好きに動いてもらえると
宗谷に似た視点の感覚が少しつかめる気がするのだと。
そんな宗谷名人について何も知らない零は
実際に対局したことがある島田にどんな人なのか尋ねたところ
返ってきたのは鳥に似てるという言葉だった。
島田はウサギとカメの話を例に挙げ
宗谷はあのウサギのもっと上の鳥であり
宗谷を見てると自分はカメか地を這う虫のような気がしてくると語る。
そしてさらに参るのがウサギは過信して自滅してくれるが
宗谷は天才と呼ばれる人間のごたぶんにもれずサボらず
だから差は縮まらない、どこまでも言ってもと・・・。
しかし縮まらないからといってそれが自分が進まない理由にはならず
抜けない事が明らかでも自分が努力しなくていいって事にはならないのだと語る。
そこまで話した島田は襲ってきた胃の痛みに苦しみつつ
医者からもらった薬を飲みながら零にもう少し付き合ってほしいと告げる。
そしてせっかく掴んだ挑戦権だからみっともない幕切れは
申し訳が立たないと地元の駅に貼ってある
”将棋のまち天童から名人を”の幕を頭に思い浮かべながら
オレしかB級以上で山形出身はいないのだと。
だからオレがやるしかないんだ、
あの段幕をあのままあそこで煤けさせとくわけにはいかないんだよと
語るのだった・・・。
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<Chapter.40 京都①>
あれから零は島田に押し切られる形で研究に付き合い続け
そんな島田を一人にすることが出来ず
一緒に第四局が行われる京都へ向かうことに。
そして新幹線に乗って京都に到着した二人は
タクシーに乗り目的地である京都第二ホテルへ。
そこには島田の到着を待っていたのか神宮寺会長が出迎えに来ており
島田の体調の悪さを見てとった神宮寺から
また胃かよとちょっとつつかれながら前夜祭まで部屋で休むことに。
そして夜になり獅子王戦第四局の前夜祭が始まった。
皆に囲まれた島田はにこやかに受け答えをしていたが
夕べからほとんど何も摂っていないことを知っている零は
そんな島田を心配そうにその様子を窺っていた。
部屋で調子が悪そうな様子を見せていた島田から
いい対局を見せるのが一番の務めだが
この場を用意してくれた人達の前に出るのも大事な務めだと言われた
零はその事を理解しながらもフラッシュが焚かれるたびに
そのひとつひとつさえも島田の胃を焼くような気がして胸が痛んでいた。
そんな中、宗谷名人と何かを話した島田は
あとは任せろと言われたらしく零と共に
そっとその会場から出て部屋で休むのだった。
そして何事もなかったかのように静かに夜は明け
獅子王戦第四局の幕が上がった。
対局へ臨む島田の険しい表情を見た零は
練習を断って無理やりにでも休ませた方がよかっただろうかと
悔やむも戦いの幕は切って落とされ
あとはもう誰も手を差し伸べることは出来なかった・・・。
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感想
獅子王戦第四局となりましたが
やっぱり今回の見どころは島田さんの過去と
故郷への想いだったのではないかと。
前回でも故郷山形に対する深い想いを語ってましたが
その背景というか島田さんの過去を知って
その想いの深さがよく分かる回だったと思います。
島田さん本人としても宗谷名人に勝ちたいという想いはあるでしょうけど
自分の為というより故郷で応援してくれる人たちの為に
タイトルが欲しい!というのが大きいでしょうね。
あれほどまでに胃が痛くなって体調が最悪なのにも拘らず
それでも他の皆の前では毅然としているのを見ると
正直真似できないと思いますし頭が下がります・・・。
それだけの期待を一身に受けてなおかつ
その期待に応えようとしてきたからこそ
今の島田さんがあるわけですから大したものです。
でもまあ、そんな期待を受けて望んでも
勝てるかどうかわからないのが宗谷名人ですから
やっぱり名人は別格なんでしょうね。
島田さんも言ってましたがウサギとカメのウサギよりも上にいる鳥という表現は
おそらく対戦した棋士のほとんどが同じような事思っているんだろうなと。
それだけ宗谷名人だけ別次元にいるのを認めざるを得ないんだろうなとも思いますが
それでも折れずに努力をし続ける島田さんも十分尊敬に値する人物だと改めて思います。
それにしても島田さんの回想で故郷のことが描かれてましたが
なんていうか本当に現代?と言いたくなるレベルでしたね(苦笑)
現実でも山の方にある村ではあんな感じなのかもしれませんが
改めて良く中学生時代に東京まで通えたなと。
苦労してきた人全てが成功するとは限りませんが
やっぱりあんな風に頑張って来た人には
報われて欲しいと切に思います。
それにしても特に重要ではなかったので
あらすじには書きませんでしたがスミスといちごちゃんの場面は
良い感じで笑わせてもらいました(笑)
それに原作ではなかった零の猫ver.も見れましたし
ああいう原作にはなかった部分を見れたのは
やっぱりアニメならではという感じですね。
次回については前夜祭も終わり、獅子王戦第四局のスタートとなりますが
ついに”あの男”が登場する回になりますのでかなり期待しています!
かなり先の方までいかないとどういう男なのかは明らかになりませんが
それでもこの作品において笑い(ちょっとシリアスも)を提供してくれる
重要なキャラクターなだけにどんな風にアニメ化されるのか楽しみです。
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