2023年3月21日発売の
週刊ヤングジャンプ 16号に掲載されている
キングダム 第791話の
ネタバレ&感想になります。
第791話 他人の戦争
内容ネタバレ
王翦本陣を目前に捉え
総攻撃を指揮する青歌城主・司馬尚。
押されかけていた戦況も
盛り返し始める中
司馬尚の元へ姿を見せたカン・サロから
悲しき報せがもたらされる。
ジ・アガが死にましたと。
その報を受け一瞬目を見開いた司馬尚は
カン・サロにすまぬと謝る。
李牧を招き入れたのはこの俺だと。
そんな主の言葉をカン・サロは
一瞬言葉を詰まらせつつも否定する。
いえ・・・ここに来たのは青歌の選択ですよと。
~李牧との会談~
李牧と会談するにあたり司馬尚は
現状を踏まえた上で告げる。
一時の雨風をしのぐ場以上のものを
青歌に望むのであればそれは難しいと。
カン・サロは悪く思わないでほしいと
その言葉を補強する形で青歌について語る。
青歌はほぼ何もないところから
皆の努力で何とか自立するところまで来た。
貴殿らを助けたいのは山々だが
それら全てを崩壊させる危険を
犯すわけにはいかないのだと。
李牧も青歌のこれまでの道程は
理解しているらしく素直に賞賛する。
生活のままならぬ難民・流民で作られた町が
今や自治国家の体を取る程の成長を遂げたのは
正に争乱の中の奇跡。
半年前 侵攻してきた燕のオルド軍を
青歌軍だけで撃退した時
私は青歌の成熟に驚きました。
そして同時にこうも思った。
青歌は”青歌の道”を定める
機に入ったのであろうと。
その上で司馬尚に語り掛ける。
私がここへ来たのは運命だとは思いませんかと。
あなたの決断を促す・・・と
言葉を続けようとするが
司馬尚はその言葉を遮り告げる。
俺は王でも独裁者でもない。
青歌の道は青歌の民に聞けと。
そう司馬尚に言われた李牧は
集められた大勢の青歌の民の前に姿を見せる。
三大天の一人ということもあり
青歌の民も李牧の存在は知っていたものの
その安否が定かでなかったこともあって
しかし何でこの青歌にいるのかと
疑問に思う者が大勢を占めていた。
李牧は青歌の民に語り掛ける。
私は先の朱海平原での大戦で秦軍に敗れ
”鄴”を奪われるという失態を犯し
その後 王位継承の争乱でも敗れ
邯鄲の軍から追われる身であると。
そんな李牧に対し青歌の民もまた
悪い感情はないようで
そればかりか歓迎する声も多く上がっていた。
その声に対し李牧は
国賊と呼ばれるまで落ちた私に
そんな言葉を頂けるのは
本当に嬉しく思いますと感謝しつつも
ここに来た理由について語る。
地位も力も失った私が
青歌に来た目的は
青歌の民になるためではありません。
この青歌の力を借りて
邯鄲の政権に返り咲き
再び来るであろう秦との大戦の時に
本命の戦力となってもらいたいからですと。
偽ることなく語られた李牧の言葉だが
青歌の民にとって到底受け入れられるものではなく
先程までとは一変して怒りの声が上がる。
俺達がどんな思いでこの青歌をここまで・・・
戦争事から離れて・・・
多くの理不尽から離れてようやく・・・
ようやく安住の地となった青歌を・・・。
ふざけるな!
我々がどうして他人の戦争に
加わらなくちゃいけないんだ。
自分のために我らを巻きこもうと・・・
ふざけるなよ、見損なったぞと。
そして声はさらに勢いをまし
今すぐ青歌から出て行け!
いや、首をはねて邯鄲に送りつけろなど
その怒りは留まることを知らなかった。
黙っていられなかったカイネは
李牧様はそんな人じゃないと口を挟むも
青歌の民には届かず・・・。
今にも暴走しそうな民に対し
李牧は静かに語りかける。
・・・放っておけば秦の刃は
”雁門”にもここ”青歌”にも必ず届きます。
そうさせないために
私と臣下達は戦ってきました。
雁門 青歌それだけではなく
もっと前線地帯にある幾多の城邑の民達が
秦軍に襲われ殺され続けないように
秦の凶刃を食い止めるために戦ってきました。
私が軍を指揮しなければ
他の民が大勢犠牲になる。
だから私は戻らねばならないのですと。
先程までの喧騒は見る影もなく
民達はじっと李牧の言葉に耳を傾ける中
李牧は言葉を続ける。
この平穏の地青歌を作り上げたあなた方の苦労は
私の想像の遥かに上をいくのでしょう。
そんなあなた方に外の戦争に力を貸せと頼むのは
最も酷な話とは百も承知です。
秦の侵攻の先には青歌もあるのだが
あえてそれを他人の戦争とするなら
それでも構いません。
ただ今ここに流れる青歌の幸せの刻は
途中にある他人の悲鳴の間に享受されているのです。
それを青歌の”心”としてよいのか
あなた方は自分達さえよければ他はいいという
生き方を選択しつづけていくのかと。
李牧の言葉に黙ってしまった
青歌の民を楽彰らと見ていた司馬尚は
”青歌の道”について語る。
外を見ずひたすらに
自分達の”国作り”をする時代は過ぎた。
この争乱の世で青歌が幸福期を
享受していくのなら示さねばならぬ。
青歌の精神はどういうものなのか。
”青歌の道”とはどういうものであるのかを。
李牧の言葉を受け青歌の民達は
今の幸福がいかに成り立っているのか
理解したようで怯えた様子で
李牧へと目を向ける。
そんな民達に対し李牧は語り掛ける。
参戦すれば間違いなく青歌の血が流れ
男達を失う悲劇に見舞われるでしょう。
残された家族の苦しみに
青歌は涙に暮れるであろう。
だがその悲劇は外で起こり続けているのです。
それを止める力を持っていて
他人の事だからと目を背け続けるのは
暗い判断ではないのか。
それでもなおそれが青歌の精神だと言うなら
青歌はどことも関わらず誰にも尊敬されず
平和のまま静かに空しく滅んでいけばいいと。
その言葉を受け民達は歯を食いしばり
拳を握ることしか出来ずにいたが
李牧はさらに言葉を続ける。
だがもし門を開くなら・・・命を賭す覚悟で
悲劇を止める戦いに出るのであれば
本当にそれをするのであれば・・・。
青歌の精神は何よりも輝かしく
尊いものとして中華に深く刻まれる。
いや あなた達そのものの中心に刻まれる。
それはあなた達の子に・・・
子孫に代々受け継がれていく。
それこそがあなた方が自身の手で
掴み取る・・・青歌の”誇り”です。
共に戦いましょう。
あなた方が力を貸すならば
私は秦が趙への侵攻を断念するまで
勝ち続けますと。
その言葉に心を打たれた民達は
李牧の共に勝利を!という声に
地響きかと思う程の歓声を上げ
力強く拳を突き上げるのだった。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
前回司馬尚が兵に言った
”青歌の精神”とは何なのか
”他人の戦争”という言葉の意味が
分かった気がします。
それと共に李牧が青歌の地で
一体何をしたのかについても。
邯鄲での政争に敗れて
青歌に落ち延びた李牧ですが
やっぱり怪物の異名は伊達じゃないなと。
恐らく青歌という地と民が
こういうものだと理解した上で
この地を選んだのだとは思いますが
言葉を飾らず言えば
見事な扇動っぷりだったと思います。
それだけ追い込まれていたのかもしれませんが
ああいう状況になる前から
青歌に目を付けていたんでしょうし
彼なりに勝算もあったんだろうなと。
色々な意味で李牧の底知れなさが
明らかになった回でしたが
司馬尚はこうなるだろうことを
予想していたんでしょうね、おそらく。
その点だけみても司馬尚という人物もまた
類まれな人物であることは間違いないかと。
そんな二人が趙軍を率いているわけですから
そりゃ厳しい戦いになるのも当然でしょうね。
前もって負け戦になるだろう事は
分かっていますが
相手が悪かったとしか言いようがないのかも。
ともあれ青歌について描かれた今回ですが
戦い自体は全く進んでいないので
次回は引き続き王翦本陣での戦いが
描かれることになると思います。
司馬尚の言葉を受けて
士気が爆上がりした青歌兵に加え
第一・第二将が参戦したところで
止まっていますので
状況は明らかに司馬尚側が有利かと。
前話の感想でも触れたように
それでも王翦がそうすんなりと
やられるとは思えないので
このまま戦うのか撤退するのかも含めて
どんな展開を見せるのか楽しみです。