2018年10月5日発売のコミックガーデン 2018年11月号に連載されている
魔法使いの嫁 51話のネタバレ&感想になります。
第51篇 The cowl does not make the monk.Ⅱ
内容ネタバレ
ガブリエッラから珍しく連絡を受けた女性アロンザは
彼女から監査のことについて報告を受けていた。
しかしどうやらその監査はアロンザが命じたものではなかったらしく
今さらこの私が送るわけあるかと話し
奴には田舎にひきこもっていてもらわなきゃと返すが
それが行われた背景について気づいたらしく
改めて面倒をかけると告げるのだった。
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告げられたサイモンだが当の本人であるエリアスは
別に僕は困らないと返していた。
その言葉はどちらにとっても予想外だったようで
サイモンはどれだけ自分がお互い当たり障りのないように動いているのか
君わかってないだろと返す中
ガブリエッラもまた私も反対だと語る。
ガブリエッラはサイモンがのんびり屋だから
お前も野菜なんぞゆっくり作れるのだと話した上で
猜疑の目と嫌悪の心に触れ続けた十年前に戻るのは煩わしいだろうと。
そうした中、監査役の少年はとにかく彼は一度本部へ連れ帰るとして
サイモンに手錠をかけていた。
いきなりの事に呆然としながらもサイモンは
私だって任務でここにいる事、いったい君は誰の差し金でいるのだと問いかけ
君の上は私の上とは違うはずだと話すが
少年が命令を遂行していないのはあなただと懐から何かとりだした瞬間
サイモンは狐のような怪物によってとらえられてしまっていた。
そうした中、背後から襲い掛かってきたガブリエッラに気付いた
少年は辛くもその一撃を躱しつつ
あなたの任はこの男に従うことではないはずだと告げるが
次の瞬間ガブリエッラは少年の首に噛み付いていた。
どうやらそれは少年から吸血するためだったようで
ガクンと膝を落とす少年にガブリエッラは
あくまで私はあれの助手だが私の飼い主とお前の飼い主は一緒じゃないとして
いけスカン奴に従う気はないと告げる。
苦し紛れに振るったナイフを躱された少年は
ガブリエッラを吸血鬼と呼び
ガブリエッラは流石子供だ元気だなあとまるでこの場に相応しくない言葉を返すが
次の瞬間自分を縛るかのような視線を感じていた。
それは少年によってもたらされたものだったようで
ガブリエッラはお前の目は我々を縛る目だなと告げるが
その目もガブリエッラには通用しないようで
少年の首を掴みながら私はヒトであり鉄と乳香に怯え
墓土を寝床に彷徨う”人でなし”どもなんかじゃあないと告げる。
主の危機に狐の怪物は雄叫びをあげつつ
捕えていたサイモンを離しガブリエッラへと襲い掛かるが
その牙が彼女に触れようとした直前に
エリアスによって首根っこを抑えられてしまっていた。
それでもなんとか拘束から抜け出そうとしていた狐の怪物だが
突如叫び声をあげたかと思いきやその身体は
少年の目の前に転がる竹のような器に入っていき
主である少年もまたそれを見届け意識を喪うのだった。
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手に取って観察していたエリアスだが
忘れられていたサイモンから手錠を外してほしいと頼まれることに。
手錠をかけられたのは久々だというサイモンの手錠を外す中
倒れた少年を持ち上げたガブリエッラから
こいつの記憶をいじれるかと頼まれたことで
自分を呼んだのはこのためかと気づく。
少年をソファーに寝かせた後エリアスは
結局これはなんなんだとサイモンに問いかけると
返って来たのは一応監査という名目なんだけどと
イマイチはっきりしない言葉だった。
予測はついているというサイモンは
教会はここ最近他宗教組織に変化しつつあり
あそこも一枚岩ではないとのことで
たぶんヴィットリオかグアルティエロの差し金ではないかと語る。
その二人は昔から発言力があった”羊飼い”と呼ばれるものらしく
自分の上とは違いあんまり寛容ではないとのことで
よくある話、意見割れとか派閥争いじゃないかと。
さらに教会のことを色々説明しながらクッキーを口にするサイモンに対し
エリアスはこの十年お前は僕の事を監視すると言ったのに
まるで知ってる人間にするように接してきたのは何故だと問いかけていた。
その言葉を聞いたサイモンは思わず咳き込んでしまうほど笑いながら
最近の君の変わりようは本当にすさまじいな、チセ君のおかげだと返しつつ
とりあえず君の質問に簡単に答えるとすると前置きした上で
私には自分以上に憎くて殺してやりたいものが無いと告げる。
話した事もない君を憎める正義感もなく
私の喉を気にしてくれた君を嫌う理由なんてないのだと話し
唐突に君はジンクスってやつを信じるかい?と問いかける。
意図が分からない質問に関係があるのかと聞き返すエリアスだが
サイモンは最初は祖母だったと自らの過去を話し始め・・・。
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その日俺は、刑務所に服役している母の為に
祖母から教わったクッキーを焼いた。
俺はイングランドで産まれたけれど母はイタリア人で
父と離婚してイタリアに戻った母は何があったかわからないが麻薬に溺れ
今となってはどういう経緯があったのかわからない。
息子からのプレゼントに喜んだ母は喜び
あと何年かしたら出られるから
そしたらまた一緒に暮らすんだ、それまでおばあちゃんを頼んだと言われた
二日後祖母は買い物の帰りに飲酒運転の車に轢かれて死んだ。
そしてまた二日後母が階段から落ちて死んだと連絡をうけ
刑務官が一人葬式にやってきた際に
君が渡したクッキーを嬉しそうに食べていたと教えてくれた。
全てが呆然としている内に終わり
叔母夫婦に引き取られた。
いい人達だった。
16の夏、姪が亡くなった。
三日目にせがまれてアイスクリームを一緒に作った。
18の秋、叔母夫婦が強盗にやられた。
四日前にクッキーを作った。
俺は友人宅に泊まりで遊びに行っていて無事だったが
俺の周りには誰もいなくなった。
死神が憑いていると言われた。
それからすさんだ日常を送っていたが
ある時菖蒲みたいに鮮やかで明るかった彼女に出会う。
彼女と一緒にいる俺も明るくなった気がしており
結婚も考えていた。
そんな彼女にこれまでのことを話したところ
例え食べても私は絶対に死なないからと言われ
彼女がせがんだのもあって祖母の形見のレシピでパンナコッタを作った。
安心したかった。
それを食べた彼女に一週間は自分から離れないようにと話し
送り迎えもしていた一週間後彼女は職場で倒れそのまま目を覚まさなかった。
雨が降りしきる中、墓の前でカミソリを手に
自殺しようとしていた俺はアロンザという女性に出会う。
アロンザに自殺しようとしていたのを止められ
ツンと指で額を突かれた瞬間彼女の背後に巨大な怪物が視えるようになっていた。
困惑するサイモンに対しアロンザは君の異常を私の”鳩”から報告としてうけとったと話し
君はジンクスというものを知っているかと問いかける。
彼女は大抵はその国の風土に根差した迷信が多いと語るが
時々君のように特定の行動で周囲や自分んい呪いのような状況をばらまく者がおり
君は場合は”作った菓子を振舞う”というものであると告げる。
それを聞き自分のせいでみんなが死んだことを理解したサイモンが
絶望に暮れる中、アロンザは生まれついての異常のせいであり
誓って君本人の罪ではないと話しつつ
そんなに死人に詫びたいと思うなら死んで終わりなんて簡単な罰よりも
もっと苦しく悩みの尽きぬ生を過ごした方が罰としてふさわしいと語る。
その後アロンザに神学校に入れられとにかく勉強して資格をとったサイモンは
上司である彼女から言われエリアスの監視につくことになったのだと。
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話の途中エリアスはサイモンがチセと同じような目をしていることに気付く。
何かを思い出してだけど何も言わない時の目だと。
サイモンは言わない自由ってものがあるのだとして
秘密を打ち明けることがいい事とは限らないと話し
何もかも共有しなくても誰かと一緒にいる事は出来るのだと告げる。
言わなくても知らなくても互いが一緒にいられる関係は尊いものであり
かつての私は失敗してしまったのだと自嘲するかのような表情を浮かべていた。
そんなサイモンにエリアスは僕にはわからないと話し
わからないところが”わからない”のだと語る。
事実を聞いて判断できる時もあれば身体が先に動くこともあり
それが自分の感情なのかそれとも別の”誰か”のものなのかわからず
ざわざわしてチセを困らせてしまうと。
そのことを聞いたサイモンだが心理学の知識がない以上
はっきりとは答えられないものの
それでも私は君のそういう淡々としたところが好きだと語る。
その上で君は直接すぎる言い方になる時もあるが
ただそのままを見てくれることに救われることも意外と多いのだとして
君の悩みに君が納得する答えが出るかは私にはわからないが
でも私やあの子はそんな君にちゃんと救われているのだと。
その上で君は感覚的かもしれないが理性的でもあり話も通じる事、
同じ言葉を喋っているのに話が通じないことだってあるのだと語り
君は話し方や考え方を誰かに習ったのかと問いかける。
その問いに対しエリアスは
意識して真似しようとした人はいると話し・・・。
一方、霧の中に迷い込んだチセは
ルツと共に状況を確認する中、潮の匂いを感じ
自分が海の上にいることに気づく。
そして辺りを見渡したところ
そこには島のようなものの上に建つ家と赤い旗があった。
”霧”と”海”と”島”というキーワードから何かを思い出しかけるチセだが
近くにステラの姿がないことに気づきその名を必死に呼びかけていた。
そしてふと気づくと島の端にある岩場に腰掛け
海に足を浸している女性がいる事に気づく。
相手は既にこちらに気付いているらしく
こんにちはお嬢さんと声をかけられることに。
その女性は自らをラハブと名乗り
魔法使いでも魔女でも海の魔物でも好きに呼ぶといいと
楽し気に笑みを浮かべるのだった。
当ブログでは簡易的なあらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は本誌かコミックス、MAGCOMIでどうぞ!
感想
今回は前回に引き続き教会関係の話がメインとなりましたが
今まで明かされてこなかったサイモンの過去とか
教会内部の事とか色々出てましたね。
とりあえずサイモンの過去についてですが
なんていうか悲劇以外の何者でもないですね・・・。
正直普段飄々としている彼の過去が
あんなにも救いようがなかったとは正直思いもしませんでした。
”作った菓子を振舞う”ことで
振舞われた人が死ぬとか流石にキツイですよね・・・。
なにより自身がそれを望んだわけでもなく
ただ好意によって引き起こされたわけですから
サイモンが悪いとも言えないですし。
それをジンクスと呼んでいいのかどうなのかはわかりませんが
この事を知った時の絶望は計り知れないだろうなと。
でもそんな事実が明かされたことで前回作ったクッキーを
誰にも食べさせようとしなかった理由も判明しましたね。
正直前話の時には何故にこんなことを?と疑問に思っていましたが
今回の話で大分理解できたのではないかと。
それはそれとしてあの少年との戦いについてですが
とりあえずガブリエッラがただのシスターではないのはわかってましたが
一体何者なんでしょうね?
本人は吸血鬼と呼ばれて否定していましたが
どちらにしても人間ではなくヒトなんだろうなと。
本人もそう言ってましたし。
そして今回の話の中で一番気になったのは
あの監査役の少年について。
その実力は大したことなさそうですが
あの使い魔っぽいものって管狐なんでしょうか?
飯綱とも言われる管狐ですが
あの狐の怪物と言い竹のような器から出てきたこともあって
共通点も多いですしおそらくそうなんじゃないかと。
管狐と言えば日本古来から伝わるものでもありますので
あの少年は日本となにか関わりがあるんじゃないかと。
本誌上では髪の色が詳しく分かりませんでしたが
おそらく黒っぽい気もしますし
もしかしたら日本人なのかもしれませんね。
なぜ教会にあの少年がいるのかはわかりませんが
チセという存在がある以上
あの少年が彼女にも関わり合う人物の可能性もあるかなと。
あくまで確証がない予想レベルではありますが
もしかしたらチセの弟本人若しくは関係者の可能性も・・・!?
最後にラハブとチセが邂逅したこともそうですが
今話は色々な意味で気になる部分が多かったですし
次回にはもうちょっと詳しい部分が明らかになればいいなと。