2025年4月9日発売の
別冊少年マガジン 5月号に連載されている
アルスラーン戦記 138話の
ネタバレ&感想になります。
第138章 忠義の臣
内容ネタバレ
玉座の間に突然姿を現し
ヒルメス麾下の兵を惨殺した
亡くなったはずのカーラーン。
生き残った兵達はカーラーンに恐怖を覚え
こんなのがカーラーン様なわけがあるか!と
玉座の間から次々に逃走。
そちらに意識を向けつつも
カーラーンから目を離すわけにはいかず
内心舌打ちするヒルメスだが
そうした中、カーラーンはザンデに襲い掛かる。
間一髪のところで剣を盾に
攻撃を防いだザンデは叫ぶ。
父上ではない!
こんな事をするのが
父上であるはずがない!と。
しかしそんなザンデの叫びを
否定するかのように
カーラーンはザンデに語り掛ける。
我が息子 ザンデよと。
父に刃向かうつもりかと言われ
震えあがるザンデだが
そこへヒルメスが割って入る。
激しい剣戟を繰り広げながらも
距離を離したヒルメスは
ザンデに声をかける。
しっかりせんかザンデ!
ここで死にたいのか!
・・・これは我らを惑わす亡霊だ!
耳を貸すな!俺が片を付けてやる!と。
そう言って前に出たヒルメスに対し
カーラーンは語り掛ける。
ヒルメス殿下 貴方は私に
「俺こそが正統な王」と申されましたな。
それは噓だった。
貴方は先王オスロエス国王陛下の
子ではなかったと。
初めてその事を聞かされたザンデが
呆然とする中、カーラーンは言葉を続ける。
魔道の者に聞きましたぞ。
貴方は私に嘘をつきましたな。
先王オスロエスの元に
ヒルメスという王子は生まれなかった。
貴方の父はゴダルゼス大王。
母は先王オスロエス国王陛下の妹――
貴方の中に流れるのは
パルス王室の呪われた血。
なにが「正統の王」か。
私は貴方の言を信じ
裏切り者の名を背負い
自国の民に手をかけ
ルシタニア人に謗られ――
それでも貴方の正統性を信じ
貴方のために戦い続けたのに
これほどの失望がありましょうか!と。
そう怒りのままにヒルメスが
隠していた真実を語ったカーラーン。
ザンデは嘘だと言ってくれと
ヒルメスへと目を向けるが
ヒルメスは歯を食いしばり
何も答えることはなかった。
そしてこの場にもう一人
逃げ遅れたのかカーラーンの言葉を
聞いていた兵士がいた。
この場に兵士がまだいたことに
ヒルメスが驚く中
兵士は震えながらもカーラーンに
嘘でございましょう?と問いかける。
カーラーン様が我らに
こんな仕打ちをするはずがなく
カーラーン様が死んだという報も
嘘だったのでは!?と。
しかしそんな兵士の問いかけに対し
カーラーンは槍を持って返す。
兵士を始末したカーラーンは
今だ状況に戸惑うヒルメスらに告げる。
美しかったエクバターナを
こうしてしまった責任を
誰かがとらねばなりません。
息子やこの者らに貴方を信じ
仕えるように言い含めたのは私の責任。
ご安心めされよ殿下。
パルス王家に忠誠を誓うこのカーラーンめが
汚れ役を全て引き受けましょう。
貴方も我が息子もこの手で殺し
私も再び死ぬと。
自身の裏切りの責任を取るため
血を決意をしたカーラーン。
ヒルメスとザンデは
そんなカーラーンと相対するが
二対一でありながらも
劣勢に追いやられていた。
それでも一瞬の隙を突いたザンデが
カーラーンの体を押さえつけ
その腕を折ることに成功するも
怪物と化したカーラーンには通じず
すぐさま折れた腕も治っていた。
それを見たザンデは涙する。
これでは本当に化け物ではないかと。
そう嘆いてもカーラーンの手が
止まるわけもなく
再び劣勢に追いやられてしまうも
ザンデはそれでも剣を持ち立ち上がる。
その姿を見たカーラーンは
ザンデに語り掛ける。
この弱い偽りの王のために
まだ戦うのかザンデ。
「王位ほしさに先王オスロエスを弑し
その子をも焼き殺したアンドラゴラス」
「その弑逆者の息子アルスラーン」
「それらを倒しパルス王室に正義を取り返す」
「それがオスロエス王の臣の嫡嗣である
己のなすべきこと」
ヒルメス殿下の言うそれらは全て偽りであった。
この期に及んでその剣を
何のために振るおうというのかと。
そんな父からの問いに
ザンデはわかりませぬ・・・!と
涙ながらに答える。
殿下は私の不手際にも
いつも寛容を示してくださいました。
語るもお辛い傷痕があるのに
我らを信用にさらけ出してくださいました。
より強き王にならんと
自ら進んで恐怖の中に
身を投じる勇気がございます。
私めの諫言も受け入れてくださいました。
囚われたイリーナ姫を救うために
ルシタニア軍がひしめき合う王宮に突入する・・・
そんな苛烈で・・・時に情け深い
ヒルメス殿下のために
私はこの剣を振るいたいのです!
この気持ちだけはどうにもなりませぬ・・・!と。
父上・・・どうかお許しください・・・
と父に語り掛けるザンデの姿に
ヒルメスも感じるものがあったのか
ザンデにここを去れと声をかける。
おぬし 実の父を斬れぬであろう。
俺がカーラーンの首を
はねる所は見たくはなかろう。
このカーラーンは俺が殺す。
そうとも 俺の血は呪われている。
ついでだ 忌わしい汚れ仕事は
全て俺が片付けてやる。
去れザンデ。もう俺について来る事はない。
アルスラーンならばおぬしを赦し
重用してくれるだろう。
行け そしてイリーナ姫に伝えてくれ。
パルス王家の神話の続きを
見せてやれずすまないと。
殿下それはっ・・・と何かを言いたげな
ザンデの言葉を遮りヒルメスは再度行け!と告げるが
それはご自分で姫にお伝えなされよ殿下との声が。
ボロボロな体を押して
この場に姿を見せたサームに
ヒルメスらが驚愕する中
サームはカーラーンに告げる。
これはどういう事だ 約束が違うぞ。
おぬし・・・戻ったら俺と
ゆっくり話したいと申しておきながら
俺の元ではなく殿下の元へ現れるとは・・・
つれないではないか なぁカーラーンと。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
ヒルメスらとカーラーンの戦いが
一体どうなるのかと思ってましたが
なんとも複雑な流れになりましたね・・・。
今までの戦いを見て
復活したカーラーンが強敵なのは
ある程度予想していましたが
なんていうか理性的だった気がします。
言っていることも筋が通ってましたし
真実を知ってその責任を取るために
戦うというのも理解できますし。
だからこそ迷いなく今の身体能力を
十全に発揮できているんでしょうけど
それだけに桁違いに強くなっているなと。
そんなカーラーンと戦うことになったわけですが
ヒルメスはともかくとして
ザンデの心境を考えると正直不憫すぎる気が・・・。
尊敬する父から心酔しているヒルメスの
真実が暴露されるというのは
その衝撃は計り知れないだろうなと。
そうした中でそれでもヒルメスと共に
カーラーンと戦ったザンデこそ
本当の意味で忠臣なんでしょうね。
だからこそヒルメスもその忠義に応えようと
この場から去るように言ったんでしょうけど・・・。
ともあれ思わぬ形でザンデを見直す回になりましたが
サームの登場によってまた流れが変わることになるかと。
ガルシャースフとの戦いもあって
今のサームが戦力になることはないでしょうけど
それでも一石を投じる存在なのは
間違いないと思いますし。
どちらにしてもあの傷を見る限り
サームは十中八九ここで
命を落とすことになるとは思いますが
彼がこの場に姿を見せたことで
どんな展開が待っているのか楽しみです。
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