2025年6月9日発売の
別冊少年マガジン 7月号に連載されている
アルスラーン戦記 140話の
ネタバレ&感想になります。
第140章 兄の未練
内容ネタバレ
万騎長シャプールの腹違いの弟イスファーン。
父親が奴隷の女に手を付けて
生まれたのがイスファーンであった。
イスファーンもその生みの母親も正妻に疎まれ
二歳の時に母親と共に冬の山に置き去りにされた。
父親もそれを知りながら
イスファーン母子を捨て置いた。
狼がうろつく冬の山で
母親は彼を抱きしめながら凍死・・・
幼き彼もまた凍死間近と思われたその時――
ただひとり 腹違いの兄シャプールのみが
冬の山を駆け登ってきて
イスファーンを救ったのだった。
そんな敬愛する兄の猛攻を前に
イスファーンは防戦一方であった。
攻撃を躱しきれず傷を負い
馬から落とされたイスファーンを助けるべく
兵士たちが割って入るも実力差は明白で
瞬く間に屠られてしまう。
それでもその隙をついて
クバードが背後から仕掛けたことで
一旦距離を離すことに成功するが・・・
シャプールを前に未だ震えが止まらず
戸惑うイスファーンに
シャプールは判断が遅いと襲い掛かる。
辛うじて躱したものの
判断が遅いと言っていると追撃され
窮地に立たされた瞬間
クバードが割って入る。
邪魔をするなと告げるシャプールに
クバードは問いかける。
おぬし本当にシャプールか
死んだと聞いたがどういう事だ!?と。
するとシャプールはイスファーンへと目を向け
やり残したことがあって戻ってきたと。
その言葉を聞きクバードは
シャプールと剣を交えながら口を開く。
おう!そういえばアトロパテネで
臣下たる者の資質について
後日語りあおうと約束したな!と。
しかしシャプールは忘れたと
クバードの剣を逸らし
再びイスファーンに襲い掛かる。
それを見たクバードはこの野郎!と
背中を見せるシャプールを急襲するが
シャプールはそれを読んでいたのか
その一撃を躱しながらも
クバードの馬を斬りつける。
斬りつけられた馬は痛みからか
悲鳴を上げて立ち上がってしまい
クバードはなんとか御そうとする中
馬の影に隠れるように
矢がシャプールへ放たれていた。
額を貫くギリギリのところで
矢を止めたシャプールに
矢を放ったギーヴは告げる。
やれやれだ こちらも蘇った死人か。
せっかく俺が望み通りの死に方を
させてやったのに・・・
何が不満で戻って来た?と。
その言葉にイスファーンが声を上げるが
シャプールはギーヴの声に応えるように口を開く。
死に方に後悔はしていない。
ルシタニアに捕まりなぶられたのは
俺が弱かったからだ。
味方の矢で死にたいと望んだのも俺だ。
ただやり残したことがひとつあった。
悔やんでいたところ蛇王派の魔道士どもが
俺をこの世に呼び戻した。
そうして再びこうしておぬし達と
相見えたというわけだと。
蛇王と聞きざわつく兵士たちをよそに
ギーヴが仮面と黒衣をまとう
魔道士どもか?と訊ねる。
するとシャプールはそうだと認め
イスファーンは以前ルシタニア軍に
夜襲をかけた時に斬った怪しげな者を思い出す。
あの時の・・・あいつもか・・・!と。
シャプールの言葉を聞いたギーヴが
こそこそとうっとうしい・・・と舌打ちする中
クバードから他にもいたのか?との声が。
ギーヴは俺が見たのは
マヌーチュルフ殿とハイル殿だと答えると
クバードは・・・という事はまだ他にも
生き返ったものがいるかもしれんな・・・と
怒りを露にしていた。
ギーヴはその二人はキシュワード卿と
若い者に任せてアルスラーン殿下のもとへ
行くところだったと話し
クバードはシャプールに声をかける。
・・・そうか・・・おぬしも
マヌーチュルフ殿と同じ・・・
魔道士どもに未練につけこまれ
あの世から戻ってきた・・・いったところかと。
それを聞いたイスファーンは
シャプールに訊ねる。
兄上っ・・・!なぜ我らを襲うのですか!?
未練とは何ですか!?と。
そんな弟の問いにシャプールは告げる。
俺の望みはただひとつ
俺と闘え イスファーンと。
なぜ・・・と戸惑うイスファーンに対し
シャプールは剣を構えろ 我が弟よと言い
クバード達にも声をかける。
クバードも兵も邪魔をするなと。
その言葉を聞きイスファーンはギーヴに
早くアルスラーン殿下のもとへ行けと声をかける。
兄上の狙いは俺だけのようだ。
ひまなおぬしはさっさと行って殿下をお守りしろと。
続けてクバードにも声をかける。
どうぞ隊を率いて殿下のもとへ
我らの――新しい王をお守りください。
魔道士どもがそこらに潜んでいるかもしれません。
どうぞお気をつけてと。
イスファーンの言葉を受け
クバードは一瞬近くにある
高い建物に目を向けた後
兵士達とギーヴに声をかける。
よし皆 殿下をお助けに行くぞ!
ギーヴ案内してくれ!と。
ギーヴは殿下はまだ王宮にいるはずだとして先導し
クバードはシャプールにさらばだと声をかけ
その後を追いかけるのだった。
クバードらが去った後、シャプールは
やっと邪魔者がいなくなったと
再び槍を手にイスファーンに襲い掛かる。
遅い。先手を取れ。受け身になるな。
敵か味方か素早く見極めよ。
俺は今 おまえを殺しに来た敵だ!
敵と認識したならすぐに行動に移れ。
敵の先へ先へと思考を巡らせろ。
将たるおまえの一瞬の躊躇で兵が大量に死ぬ。
兵を束ねる将ならば個の情を捨てろと。
まるで将とは何かを教えるかのように
激しい攻撃を仕掛けるシャプールに対し
イスファーンもその意図に気づいたのか
防戦一方だった展開から打って変わって
自らシャプールに斬りかかる。
二人の剣戟の音が周囲に鳴り響く中
近くにある高い建物の中で
魔道士が嗤っていた。
くくく・・・無惨無惨。
なんと無惨なことか!
獣でも兄弟で殺し合うことなどそうそう無いぞ。
おそろしい兄だのうシャプールめは!
そう二人の戦いをにやにやしながら
見ていた魔道士だが
そこへクバードが姿を見せる。
よう おまえは蛇王派の魔道士ってやつだなと。
魔道士は声をかけられて初めて気づいたのか
貴様アルスラーンのもとへ行ったのでは・・・と
戸惑いながらも口にした瞬間
その腕をクバードによって斬られていた。
そして悲鳴をあげる魔道士を見て嘲笑うように
俺はほらふきだからな 行ったふりだと告げる。
まったく性格が悪いぜ この黒鼠どもは。
死人を墓穴から引きずり出すような
まねしやがって・・・
ギーヴの言っていた通りだ。
「奴ら性格が悪いからこの悪趣味な兄弟対決を
どこかでにやにやとのぞき見してるに違いない」ってな。
そんな奴らなら特等席にいるだろうと思ってな。
捜しやすかったぜ黒鼠と。
そんなクバードに恐怖を感じたのか
魔道士は術を使い逃げようとするが
その瞬間胴を真っ二つに斬られていた。
壁や地中に潜る術があることもギーヴに聞いた。
逃がしはしないと。
そして続けざまに仮面ごと
魔道士を両断し告げる。
蛇に媚びる鼠めが。
貴様ごときがシャプールを語るな!と。
当ブログでは簡易的な
あらすじとしてありますので
より詳しく知りたい方は
本誌かコミックスでどうぞ!
感想
兄であるシャプールと戦う事になった
イスファーンがどうなるかと思ってましたが
中々面白い展開になっていますね。
まあ、敬愛する兄が相手という事もあって
イスファーンは防戦一方でしたが
その真意を理解した後には
互角にやり合えていた気がします。
それにしても魔道士に蘇らせられた者って
精神的に崩壊している節もあってか
話も通じずらい者も多かった気がしますが
シャプールはちょっと違うみたいですね。
彼の戦い様を見る限り
あえて魔道士の誘いに乗ることで
弟を将として鍛えようとしているとしか
思えない感じですし。
それを可能にしているのは
シャプールの意志だと思いますが
それもこれもそれだけ弟であるイスファーンを
大事に思っているからなんだろうなと。
魔道士としてはアルスラーン達を倒すために
一番有効な駒として復活させて
それが間違っているわけではないですが
人によっては成長を促す機会になっていることも
間違いない事だと思います。
親子で戦う事になったカーラーンとザンデしかり。
兄弟で戦う事になったシャプールとイスファーンしかり。
他にも新しく将となった
トゥースやザラーヴァントも
万騎長と戦って勝ったという事実は
かなり大きいと思いますしね。
陣営が違うのでザンデはともかくとして
アルスラーン陣営としては
無事ここを乗り切ることが出来るならば
これ以上ない成長の機会だったのは間違いないかと。
それに今回の最後でクバードが
魔道士の一人を倒しましたが
これもまた大きいと思います。
未だ魔道士たちの存在は
謎に包まれていますが
それでも数に限りはありそうですし
将来的にも脅威となる敵を減らすのは
戦略的に見ても正しいと思いますしね。
ともあれまだシャプールは倒せていないものの
わざわざイスファーンを鍛えにきた以上
それも時間の問題だと思いますので
次回か次々回にはまた別の戦いに
焦点が当てられることになると思います。
蘇った者達があと何人いるかは
定かではありませんが
アルスラーンのもとには
ヴァフリーズがいるはずですので
こちらも気になるところ。
他にも蛇王が徘徊していますが
それは蘇った者たちを対処した後になるでしょうし
次回アルスラーン視点になるかはわかりませんが
どういった展開を見せるのか楽しみです。
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